糖尿病を予防するためのポイント11選!普段の生活で気をつけるべき点は?
糖尿病は生活習慣病の一つで、食生活の乱れや運動不足、ストレスなどの生活習慣によって発症リスクが高まります。
糖尿病が怖いのは、悪化すると失明したり、人工透析が必要になったりなど、重篤な合併症を引き起こす可能性があるためです。
また、初期症状が見られないケースが多いため、「気づいたら進行していた」ということもあります。
糖尿病のリスクを減らすためには、日頃から生活習慣に注意し、予防を意識することが大切です。
この記事では、糖尿病を予防するためのポイントを食生活と日常生活に分けて紹介します。
食生活における糖尿病予防のポイント
糖尿病の治療に食事療法が用いられるように、食事と糖尿病には深い関係があります。ここでは、糖尿病を予防するうえで、食生活でどのようなことに気をつけたらいいか解説します。
よく噛んでゆっくり食べる
糖尿病を予防するためには、普段の食事において、1食20分を目安によく噛んでゆっくり食べることを心がけましょう。
なぜなら、よく噛むことで脳が刺激され、食べ物を消化する前からインスリンが分泌されて血糖値の急上昇を抑えられるためです。
また、時間をかけて食事を摂ることで満腹中枢が刺激されるため、適量でもお腹いっぱいになったと感じやすくなります。
少量でも満腹感を得ることができれば、糖尿病を引き起こす原因の一つでもある肥満を防ぐ効果も期待できるでしょう。
野菜や海藻から食べる
食事を摂る際には、炭水化物よりも先に野菜や海藻を食べることで糖尿病の予防効果が期待できるでしょう。
野菜や海藻には、食物繊維やクエン酸など血糖値の上昇を抑える成分があり、最初に食べることで食後の血糖値の上昇を緩やかにします。
また、先にカロリーの低い野菜や海藻を摂取すると満腹感を得やすくなり、炭水化物の摂取量を減らす効果も期待できます。
ただし、野菜は何でも良いというわけではなく、糖質の多いトウモロコシや芋類などは控え、それ以外の緑黄色野菜がおすすめです。
野菜や海藻類を食べたあとはタンパク質を摂取すると胃の動きが緩やかになり、血糖値の上昇をさらに抑えられます。
ただし、高齢者の方が行うと、野菜でお腹が満たされてしまい、主食にたどり着かずに結果的にカロリー不足となることもあります。野菜から食べることにこだわりすぎず、魚や肉といったおかずから食べることも効果的とされています。
糖質の多い食事に注意する
糖尿病にならないようにするためには、普段から糖質の多い食事を摂りすぎないように注意し、バランスの良い食事を心がけましょう。
糖質の多い食事としては、以下のような食品が挙げられます。
- 穀類:米、パン、うどん、小麦
- 甘味料:砂糖、黒糖、ハチミツ、メープルシロップ
- 豆類:あずき、インゲン豆、ひよこ豆
- 飲料:砂糖入りコーヒー、砂糖入り紅茶、果汁ジュース、炭酸飲料
- 調味料:砂糖、みりん、ケチャップ
糖質を摂りすぎないように気をつける一方で、完全に糖質を断ってしまうとエネルギー不足になり、体に負担がかかるためNGです。
まずは、1日の糖質摂取量を1/3程度に減らしたり半分にしたりなど、負担のない範囲で糖質制限を行いましょう。
腹八分目にする
糖尿病予防のためにも、過食にならないように注意し、満腹になる一歩手前の腹八分目くらいを目安に食事を摂りましょう。
食事の量が多くなると血糖値は上昇しやすくなり、特に炭水化物の量が増えると食後の血糖値が長い状態が続きやすくなります。
お腹いっぱいになるまで食べないと満足できないという方は、野菜などカロリーの低いものを料理に取り入れ、カロリーオーバーにならないようにしましょう。
アルコールを適量にする
糖尿病のリスクを減らすためには、アルコールを摂りすぎないように注意し、適量を守るようにしましょう。
アルコールを摂りすぎてしまうと、インスリンが十分に作用しなくなるインスリン抵抗性となり、血糖値のコントロールができなくなります。
ただし、適量のアルコールであればストレス解消などプラスの効果もあるため、完全に断つ必要はありません。
適量は、その人の健康状態によっても変わってくるため、かかりつけの医師に相談してみるのもよいでしょう。
ペットボトル症候群に気をつける
ペットボトル症候群は糖尿病のリスクを高めるため、特に喉が渇きやすい暑い時期は清涼飲料水の多飲に注意する必要があります。
ペットボトル症候群とは、糖分を多く含む清涼飲料水を多飲することで血糖値が上昇し、さらに喉が渇くという悪循環に陥る状態です。
血糖値が高くなると、濃度が高くなった血糖値を下げようと身体は水分を欲し、喉が渇いてしまいます。
これを繰り返すことで、インスリンが分泌されても血糖値が下がりにくくなり、糖尿病につながる場合もあります。
血糖値の急激な上昇を抑えるためにも、水分を摂取する際には糖分が含まれていない水やお茶を選びましょう。
間食や夜食は控える
糖尿病のリスクを減らすためにも、1日3食を目安とし、間食や夜食は控えましょう。
食事をする前に間食すると血糖値が高い状態のまま食事を摂ることになり、インスリンを分泌する膵臓に負担がかかります。
また、就寝時はインスリンの働きが鈍くなるため、就寝前に食事を摂ると寝ている間も血糖値が高い状態が続くため注意しましょう。
間食や夜食を摂る場合は、糖質やカロリーの少ないヨーグルトや加工されていないナッツ類がおすすめです。
日常生活における糖尿病予防のポイント
糖尿病を予防するためには食生活だけでなく、日々の生活でも気をつけるべきポイントがいくつかあります。
ここでは、日常生活における糖尿病予防のポイントを紹介します。
適度に運動をする
糖尿病の治療方法に運動療法が用いられているように、適度な運動は糖尿病の予防に効果的な方法といえます。
なぜなら、運動をすることで筋肉への血流が増えると、ブドウ糖が細胞の中に取り込まれて血糖値が下がるためです。
ただし、運動をやめてしまうとその効果は数日程度で失われるため、継続しなければ十分な効果は得られません。
インスリンの効果を高めて血糖値を下げるための運動は、有酸素運動や筋力トレーニングなどをおすすめします。
最初はウォーキングのように軽い運動からスタートし、ジョギングや水泳などを軸に筋力トレーニングも取り入れるとよいでしょう。
血圧を高めるような強度の強い筋力トレーニングは心臓や腎臓への負担が増えるため、健康には逆効果になる可能性があります。
ストレスをためない
精神的な疲労は血糖値にも悪影響を及ぼすため、糖尿病予防のためにはストレスをためない生活習慣も大切です。
人がストレスを感じるとアドレナリンやコルチゾールと呼ばれるホルモンが分泌され、血圧や心拍数に加えて血糖値も上昇します。
さらに、ストレスを受け続けるとインスリンへの感受性が鈍くなり、血糖値が下がりにくくなるため、糖尿病のリスクを高めます。
また、人によってはストレスを感じると暴飲暴食となり、糖質の過剰摂取によって糖尿病のリスクを高める場合もあるでしょう。
ストレスをためないためにも、趣味を楽しむ時間を作ったり、周囲に相談したりなど、上手にストレスと付き合っていくことが大切です。
良質な睡眠をとる
日頃から良質な睡眠を取るように心がけることは、糖尿病予防にも効果的です。
慢性的な睡眠不足が続くと血糖コントロールの悪化やインスリン抵抗性の増加を引き起こし、血糖値の上昇につながるリスクがあります。
また、不眠によって食欲を抑制するレプチンと呼ばれるホルモンが減少し、一方で食欲を促すグレリンが増加します。
良質な睡眠をとるためにも、夜はできるだけ早く寝て同じ時刻に起床するようにし、寝る直前のスマホやアルコールなどは控えて心身を興奮させないようにしましょう。
適正体重をキープする
糖尿病予防のためには適正体重をキープすることが大切で、そのためにも自分の身長や体重からBMIを把握しましょう。
適正体重の指標となるのがBMIで、『体重÷身長(m)÷身長(m)』で算出され、仮に体重が70kgで身長が170cmだった場合のBMIは『70÷1.7÷1.7=24.2』です。
また、BMIと体格区分は以下のようになります。
- BMIが18.5未満:やせ
- BMIが18.5以上25未満:適正体重
- BMIが25以上:肥満
適正体重はBMIが18.5以上25未満であり、数値が22に近いほど理想の体重です。
糖尿病予防は定期検診も大切
糖尿病予防のためには、食生活や生活習慣の改善に加えて、定期健診を受けることが大切です。ここでは、定期検診が重要な理由や目安を紹介します。
糖尿病は自覚症状がない
糖尿病予防で定期検診が重要になる理由は、糖尿病は自覚症状に乏しく、発症しても気づきにくいためです。
糖尿病は血液中のブドウ糖が通常に比べて増える病気であるため、痛みやかゆみなどの症状が起こらず発覚が遅れてしまう傾向にあります。
ただし、糖尿病の初期症状がまったくないわけではなく、以下のような症状が現れることもあります。
- 喉が渇く
- 尿の回数が増える
- 食べても体重が増えない
- 疲れやすくなる
このような症状を自覚するときは糖尿病の可能性が考えられますが、健康な人にも見られる症状も多いため、糖尿病に気づかないケースも多いです。
糖尿病を早期発見するためには、定期検診を受けて血糖値やHbA1cなどの数値を定期的にチェックする必要があります。
定期検診で早期発見ができる
定期検診を受けるメリットは、糖尿病を早期発見できるため、早めに治療を開始して合併症を防げることです。
糖尿病が怖いといわれる理由として合併症が挙げられますが、これは高血糖によって全身の血管や神経が傷つくことで生じます。
糖尿病の合併症としては糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害があり、最悪の場合は失明や透析、足の切断が必要となる怖い病気です。
定期検診を受けて糖尿病を早期に発見できれば、食事療法や運動療法、投薬などによって健康な人と変わらない生活が送れます。
定期検診の目安
糖尿病は自覚症状が乏しいことから、定期検診は半年~1年に1回のペースで受けましょう。
会社で定期検診を受けている場合は、血糖値やHbA1cの数値をチェックし、以下を超えている場合は要注意です。
- 空腹時血糖値:100-109mg/dL
- HbA1c:5.6-5.9%
これらは正常値の範囲ではあるものの、数値が高めであり、将来的に糖尿病を発症する可能性があります。
なお、以下の数値は糖尿病予備軍(境界型)に該当し、それを超えると糖尿病と診断されます。
- 空腹時血糖値:110-125mg/dL
- HbA1c:6.0-6.4%
生活習慣や食生活に変化がなくても加齢によって膵臓の機能は低下してくるため、年ごとの数値の変化をチェックすることも大切です。
また、少しでも身体に異変を感じる場合や糖尿病の自覚症状が見られる場合は、定期検診を待たず早期に医療機関を受診しましょう。
糖尿病の詳しい検査や治療はすべてのクリニックで対応しているわけではないため、糖尿病に特化した医師が在籍している医療機関をおすすめします。
まとめ
この記事では、糖尿病を予防するためのポイントや生活習慣で気をつけることを紹介しました。
糖尿病を予防するためには食生活の見直しが重要で、糖質の多い食事は控え、糖質コントロールを行いましょう。
また、食事の内容だけでなく食事の方法も重要で、「野菜を先に食べる」「間食や夜食を控える」「よく噛んでゆっくり食べる」なども心がける必要があります。
生活習慣においては適度に運動を行い肥満防止に努め、良質な睡眠を心がけて、ストレスをためないように意識しましょう。
また、糖尿病は自覚症状がほとんどないケースもあるため、定期検診を受けて身体の管理を行うことが大切です。
糖尿病が疑われる場合は糖尿病の診察に力を入れている医療機関を受診し、適切な診察と治療を受けましょう。
はまゆり糖・生活習慣病クリニック溝の口は、糖尿病専門医による診察が受けられる医療機関です。
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