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甲状腺の腫れはストレスが原因?ストレスを溜めないポイントを解説

[2024.07.09]

甲状腺の腫れをもたらす病気としてはバセドウ病や橋本病があり、これらは自己免疫疾患と呼ばれています。

これらの病気を引き起こす要因の一つにストレスが挙げられますが、ストレスだけが甲状腺の病気を直接引き起こすという研究結果はありません。

しかし、大きなストレスをきっかけに甲状腺の病気を発症する場合もあるように、ストレスが影響を与えている可能性はあります。

また、ストレスは甲状腺の病気の症状を悪化させる原因にもなるため、常にストレスを溜めないように心がけることも大切です。

この記事では、ストレスと関係があるといわれている甲状腺が腫れる病気の特徴や注意点を紹介します。ストレスを溜めない方法や対処法とあわせてご覧ください。

ストレスが原因で甲状腺が腫れる原因

甲状腺が腫れる病気の中には、ストレスが関係している可能性もあります。ここでは、甲状腺ホルモンとストレスの関係を解説します。

甲状腺の腫れと関係のある甲状腺ホルモンとは

甲状腺ホルモンとは、のど仏のすぐ下にある甲状腺と呼ばれる小さな臓器から分泌されるホルモンです。

食べ物に含まれるヨウ素からホルモンを作って血液中に分泌し、体内では以下の働きを行います。

  • 細胞の新陳代謝を活発にして脂肪や糖分を燃焼させてエネルギーを作る
  • 交感神経を刺激して心臓機能や発汗の調整を行う
  • 子どもの成長や脳の働きを維持する

甲状腺ホルモンは、多すぎても少なすぎても身体には悪影響です。

例えば、甲状腺ホルモンの分泌が多すぎると必要以上に新陳代謝が高まり、少しの運動でも脈拍が上がったり、体温が上昇したりなどの症状が起こります。

一方、甲状腺ホルモンの分泌が少なすぎると新陳代謝が低下し、疲労感やだるさ、食欲低下などが起こります。

このように甲状腺ホルモンの分泌に異常があると、「なんとなく調子が悪い」「身体の様子がおかしい」など、自覚症状を伴う場合も多いです。

ストレスと甲状腺ホルモンの関係

ストレスと甲状腺ホルモンに関係性があるといわれているのは、ストレスがかかるとストレスホルモンのコルチゾールが上昇するためです。

コルチゾールが分泌されると、血圧や血糖値が上昇したり、免疫の働きが低下したりなどの症状が現れます。

そのため、強いストレスにさらされていると免疫に乱れが生じ、甲状腺を過剰に刺激し、甲状腺ホルモンの分泌にも影響が出てくるというわけです。

ストレスといっても、職場の人間関係のように外的要因の場合もあれば、妊娠や出産など体内環境が大きく変化することが原因になる場合もあります。

ストレスが原因で甲状腺が腫れる病気

ストレスが原因となって、甲状腺が腫れる可能性のある病気はいくつかあります。ここでは、ストレスとの関係性が疑われる甲状腺の腫れる病気を紹介します。

バセドウ病

バセドウ病とは、甲状腺ホルモンが異常に多く作られることにより、新陳代謝が過剰になる病気です。

年齢に関係なく発症する可能性のある病気ですが、特に20代から40代に多くみられ、男性よりも女性に多い特徴があります。

バセドウ病は甲状腺を刺激する自己抗体が産生され、甲状腺ホルモンが過剰産生することで発症する自己免疫疾患です。

強いストレスが引き金となって発症する場合もあり、甲状腺の腫れや頻脈、眼球突出などの症状が現れる場合もあります。

また、バセドウ病では感情の起伏も激しくなりやすく、いつも以上にストレスがかかりやすくなっています。

ストレスによって症状が悪化する場合もあるため、発症後は肉体的にも身体的にも負担が大きくならないように注意しなければなりません。

橋本病

橋本病とは、甲状腺が炎症を起こして甲状腺ホルモンの分泌が低下し、新陳代謝が低下して腫れやさまざまな症状を引き起こす病気です。

特に30代から40代に多くみられ、男性よりも女性に多い特徴があります。

自己免疫疾患の一つであり、免疫の異常によって慢性的に炎症が起こっているため、慢性甲状腺炎とも呼ばれています。

ストレスは正常な免疫反応を抑え、異常な免疫反応を活性化させるため、ストレスが引き金となって発症する可能性も否定できません。

ストレス以外の原因としては、花粉症やヨードを大量に含んだ食品の摂取、体質の遺伝などが挙げられます。

橋本病にかかると、新陳代謝の低下に伴い、無気力や疲れやすさ、全身のむくみ、寒がり、体重増加、女性は月経過多の症状が見られるのも特徴です。

また、妊婦は軽度の場合でも、胎児の発育に影響が出る可能性もあるため、妊娠時には医療機関で受診する必要があります。

無痛性甲状腺炎

無痛性甲状腺炎は、何らかの原因で甲状腺に炎症が生じ、甲状腺ホルモンが血液中にあふれ出す病気です。

甲状腺ホルモンの分泌が一時的に増加するため、バセドウ病と似た症状が起こりますが、通常は1か月程度で甲状腺ホルモンの分泌量は低下します。

無痛性甲状腺炎は腫れても痛みを伴わず、ストレスや免疫系に影響するような病気や薬剤で引き起こされるのが特徴です。

基本的には経過観察のみで甲状腺機能は回復しますが、治るまでは動悸や手の震えなどで日常生活に支障が生じる場合もあります。

また、無痛性甲状腺炎は再発する場合もあり、改善しても同様の症状が続く場合は、甲状腺機能の検査が必要です。

亜急性甲状腺炎

亜急性甲状腺炎は甲状腺内に炎症が発生し、甲状腺組織が壊れて、腫れや痛みなどの症状を伴う病気です。

甲状腺ホルモンが一過性に増加することで、バセドウ病より程度は軽いものの、多汗や動悸、イライラなどの症状が現れます。

この炎症は風邪に引き続いて起こりやすいため、ウイルスの関与が疑われていますが、自己免疫や遺伝的な要素が関与している可能性もあります。

ストレスとの直接的な関与が認められているわけではありませんが、ストレスが風邪や自己免疫に影響し、間接的な影響をもたらす可能性はあるでしょう。

ストレスを溜めないポイント

ストレスは甲状腺の腫れや病気をもたらしたり、症状を悪化させたりする可能性があるため、ストレスを溜めないことが大切です。

ここでは、ストレスを溜めないポイントを紹介します。

規則正しい生活を心がける

不規則な生活は生活リズムを乱し、ストレスや疲れの原因となるため、日頃から規則正しい生活を心がけることが大切です。

規則正しい生活とは起床、朝食、昼食、夕食、就寝など、食事と睡眠の時間やバランスを整えて生活することをいいます。

具体的には以下のことを心がけましょう。

  • 体内リズムを整えるために決まった時間に起きる
  • 身体を休ませて肥満防止のために夕食は早めに取る
  • 眠りにつきやすいようにお風呂は寝る90分前に入る
  • 睡眠不足を防止するために早めに寝る

規則正しい生活リズムは無理なく続けられることが大切で、毎日できる範囲から少しずつ取り組んでストレスを減らしましょう。

お風呂にゆっくり浸かる

お風呂にゆっくり浸かることで、身体を温めてリラックス効果が得られたり、ストレスを軽減したりする働きが期待できます。

特に38〜40℃のぬるま湯に長く入ると、副交感神経の活性化を促し、ストレスが活性化されていた交換神経の働きが弱くなります。

一方、熱すぎるお湯はかえって身体を活動的にさせてしまい、リラックスとは真逆の状態になるため注意しましょう。

ぬるま湯に浸かることは、代謝機能が低下する橋本病においては新陳代謝を活性化させる意味でも効果的です。

しかし、甲状腺の機能が活発になるバセドウ病では、新陳代謝がより活性化されるため、長時間お湯に浸かるのは避けた方がよいでしょう。

バランスの良い食事を心がける

毎日の食生活を見直し、バランスの良い食事を心がけることは、ストレスを減らすうえで効果的な方法です。

身体の健康を維持するために必要な栄養素が不足すると、ストレスを感じやすくなるため、栄養バランスを意識することはストレス対策につながります。

特に、カルシウムやマグネシウム、タンパク質、ビタミンなどの栄養分が不足しないように食事を心がけましょう。

一方、ストレスを抱えている方の中には暴飲暴食でストレスを解消する方もいます。

このようなストレス解消は一過性であり、食生活が乱れることによってストレスが増大する可能性もあります。

甲状腺が腫れているときに注意すること

甲状腺が腫れる原因はさまざまで、その後の対応によっては症状を悪化させる可能性もあるため注意が必要です。

ここでは、甲状腺が腫れているときの注意点を紹介します。

早めに受診する

甲状腺が腫れている場合は、原因を特定するためにも、早めに医療機関を受診して医師に診てもらいましょう。

甲状腺の腫れは甲状腺ホルモンの分泌以外にも、良性の甲状腺腫瘍や甲状腺がんが原因になっている場合があります。

甲状腺ホルモンが原因の病気においても、全身に与える影響が大きいため、早期発見や早期治療が重要です。

また、甲状腺の病気は自律神経失調症や更年期障害など、甲状腺の病気が他の病気と間違って診断されることもあります。

そのため、甲状腺の腫れで受診する場合は、甲状腺の診察や治療に特化している医療機関を選びましょう。

ヨウ素の過剰摂取

甲状腺が腫れている場合、甲状腺ホルモンの原料となるヨウ素の過剰摂取は控えましょう。

その理由は、ヨウ素を過剰摂取すると甲状腺ホルモンが作られなくなり、甲状腺の機能が低下する可能性があるためです。

特に橋本病の場合においては甲状腺の腫れが悪化したり、甲状腺機能がより低下したりする可能性もあります。

ヨウ素が多く含まれているのは、昆布やわかめ、のりなどの海藻類で、魚介類にも多く含有されている成分です。

ただし、ヨウ素は甲状腺ホルモンに必要で、不足しても甲状腺機能の低下につながるため、適量に摂取する必要もあります。

喫煙

喫煙は甲状腺の機能に悪影響を及ぼすため、腫れている場合は禁煙が望ましいです。

特にバセドウ病患者は、眼球突出やまぶたの腫れ、視力低下などバセドウ病眼症を引き起こしやすいとされています。

このような症状が起こるのは、タバコに含まれる化学物質が免疫システムに影響し、異常な免疫反応を起こすことが要因として考えられます。

一方、橋本病においても、喫煙すると甲状腺機能低下症が悪化しやすいため注意が必要です。

これはタバコの煙に含まれる化学物質のチオシアネートが、甲状腺がヨウ素を取り込むのを妨げる作用があるためです。

激しい運動

甲状腺が腫れている原因のうち、特にバセドウ病や無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎にかかって甲状腺ホルモンの分泌が多い場合は激しい運動を避けましょう。

甲状腺ホルモンの分泌が多いと安静時も脈拍が早くなっているため、激しい運動によって心臓に大きな負担がかかるためです。

一方、甲状腺機能が安定し、医師の許可を受けている場合は運動制限は必要ありません。

橋本病では運動制限は基本的にないものの、心臓機能に問題が生じているような場合は運動制限が必要になる場合もあります。

甲状腺の腫れといっても原因ごとに運動を行うリスクは異なるため、まずは医療機関で原因を特定してもらうことが大切です。

まとめ

この記事では、甲状腺が腫れる原因やストレスとの関係性を紹介しました。

甲状腺とストレスの関係は完全に解明されているわけではありませんが、甲状腺が腫れる原因によってはストレスが関与している可能性もあります。

また、ストレスは甲状腺に関連する病気の症状を悪化させる場合もあるため注意が必要です。

甲状腺が腫れている場合は早めに医療機関に受診して原因を特定し、日頃からストレスを溜めないように生活リズムを整えることも大切です。

甲状腺の腫れや症状に関することなら、はまゆり糖・生活習慣病クリニック溝の口にご相談ください。

当クリニックでは内分泌専門医が甲状腺の診察を行い、必要に応じて内科的治療につなげていきます。

10年以上の大学病院での勤務経験をもとに診察を行っているため、安心してご相談ください。

また、近隣にある高度医療機関とも連携をとっており、当クリニックで対応が困難な状態の方も速やかにご紹介させていただきます。

甲状腺で気になる症状がある方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

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