甲状腺が痛いのは亜急性甲状腺炎が原因?症状や治療法を解説
甲状腺が痛い場合は、亜急性甲状腺炎が原因かもしれません。亜急性甲状腺炎は、甲状腺に炎症が起こる疾患で、激しい痛みを伴う病気です。
この記事では、甲状腺が痛いのは亜急性甲状腺炎が原因なのか、亜急性甲状腺炎の症状、注意点、受診する際のポイントについて詳しく解説します。
甲状腺の痛みについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
甲状腺が痛いのは亜急性甲状腺炎が原因?
甲状腺が痛い場合、亜急性甲状腺炎を発症しているかもしれません。亜急性甲状腺炎は、甲状腺疾患のなかでも痛みを伴いやすい病気の一つです。
ここでは、亜急性甲状腺炎の原因について解説します。
亜急性甲状腺炎とは
亜急性甲状腺炎は、甲状腺内に炎症が起こり甲状腺組織が破壊される病気です。甲状腺に炎症が発生するため、人によっては激しい痛みを伴います。
亜急性甲状腺炎になると、甲状腺組織内に溜まっていた甲状腺ホルモンが血中に流れ出て、血中の甲状腺ホルモンが急上昇します。
血中の甲状腺ホルモンが急上昇すると、炎症が悪化してさらに痛みが発生する仕組みです。
亜急性甲状腺炎は急性甲状腺炎より長く続くのが特徴で、人によっては数週間〜数ヶ月ほど苦しめられる場合があるでしょう。
ただし、慢性的に続くわけではなく、おおよそ2ヶ月間ほど薬を服用すれば治ります。短い期間で再発することはないため、一度治療すればしばらくは安心です。
一方で、男性より女性の方がなりやすいとされるため、普段から甲状腺の状態をある程度把握しておくことが重要となるでしょう。
亜急性甲状腺炎の原因
亜急性甲状腺炎の原因は、はっきりとしていません。
医療が進んだ現代でも明確な原因は明らかになっておらず、風邪のような症状に連なって起こりやすいとされています。
そのため、亜急性甲状腺炎の発症にはウイルスが関係しているのではと考えられていますが、確かな原因は未だ不明です。
亜急性甲状腺炎の症状
亜急性甲状腺炎の症状は、炎症による症状と甲状腺ホルモンによる症状の2種類に分けられます。主な症状は、以下の通りです。
- 炎症による症状
⇒甲状腺の痛み
⇒甲状腺の腫れ
⇒発熱 - 甲状腺ホルモンによる症状
⇒息切れ
⇒動悸
炎症による症状では、甲状腺の痛みや腫れが見られ、状態によっては発熱を伴います。甲状腺が炎症を起こしている状態にあるため、痛み・腫れ・発熱が顕著です。
痛みは食べ物や飲み物が喉を通過した際に感じる軽度のものから、何もしなくても感じる重度のものまであり、悪化すると耳・鼻・胸全体に痛みを伴います。
腫れは甲状腺全体もしくは左右片方が硬くなり、時間とともに患部が移動するのが特徴です。発熱は微熱から高熱までさまざまで、熱そのものを感じない場合もあります。
亜急性甲状腺炎の検査
亜急性甲状腺炎の検査は、以下のものが主流です。
- 血液検査
- 超音波検査
- アイソトープ検査
甲状腺の異常は、血液検査・超音波検査・アイソトープ検査で判断されます。
血液検査では、炎症の指標であるCRPの数値・甲状腺ホルモン値・サイログロブリン値の数値、超音波検査では、甲状腺の腫大・炎症性変化を判断するのが一般的です。
その他、甲状腺ホルモンの異常が見られる病気と他の病気とを区別するため、アイソトープ検査が実施されます。
どの検査も亜急性甲状腺炎を調べるのに有効であるため、異常が見られる場合は専門の医療機関を受診してみましょう。
$亜急性甲状腺炎の治療$
亜急性甲状腺炎の治療は、薬を服用しながらの経過観察が一般的です。炎症が重度の場合は服用が必要ですが、軽度の場合は自然治癒する場合があります。
詳しい治療方針は、医師・薬剤師と相談しながら判断してください。ただし、亜急性甲状腺炎の治療中は重度・軽度に関わらず、激しい運動は避けましょう。
なお、痛み・腫れ・発熱が激しい場合はステロイド薬・非ステロイド薬を症状の程度に合わせて服用します。
通常は2ヶ月ほどで完治するため、完全に治るまでは安静にすることが大切です。
亜急性甲状腺炎の症例
亜急性甲状腺炎の症状は、痛み・腫れ・発熱が一般的ですが、他の症状にも注意が必要です。ここでは、亜急性甲状腺炎の症例について詳しく解説します。
$炎症による痛み$
亜急性甲状腺炎では、炎症による痛みが生じます。痛みは軽度から重度まで幅広く、人によっては喉全体・首全体に痛みを伴います。
炎症が悪化すると喉や首の他、耳・鼻・胸にまで痛みを感じやすくなり、耐えがたい痛みを感じる場合があるため、早めの治療が必要です。
炎症による腫れ
亜急性甲状腺炎では、炎症による腫れが生じます。腫れは喉・首全体に広がる場合、左右どちらか片方に現れる場合の2パターンがあります。
炎症が悪化すると患部が硬くなり、違和感を抱きやすくなるため、早めの治療が必要です。
炎症による発熱
亜急性甲状腺炎では、炎症による発熱が顕著です。喉・首で炎症が引き起こされるため、患部に激しい熱を感じやすいです。
午前中より午後にかけての発熱がより顕著で、状況によっては日常生活に支障をきたすほど発熱する例も珍しくありません。
全身のだるさ
亜急性甲状腺炎は、炎症による痛み・腫れ・発熱の他、全身のだるさを感じやすいです。いわゆる倦怠感が全身を包み、いつも通りの日常生活を送るのが困難になります。
倦怠感の他に筋肉痛を伴う場合があり、激しい筋肉痛によって動きにくくなるなど、亜急性甲状腺炎は生活に影響を及ぼす病気といえるでしょう。
暑がり・多汗
暑がり・多汗は、亜急性甲状腺炎の症例の一つです。
亜急性甲状腺炎は甲状腺ホルモンが優位になっている状態のため、全身に暑さを感じやすく、汗をかきやすい状態となります。
息切れ・動悸
息切れ・動悸は、亜急性甲状腺炎の症例の一つです。
亜急性甲状腺炎は甲状腺ホルモンが優位になっている状態のため、ちょっとしたことで息切れしやすく、何もなくても動悸を感じやすくなる状態となります。
下痢・軟便
亜急性甲状腺炎の症例の一つとしてよく挙げられるのが、下痢・軟便です。
甲状腺ホルモンの乱れによって下痢・軟便になりやすくなるため、日常生活での注意が必要となります。便が緩くなると肛門の炎症につながるため、合併症に気を付けましょう。
月経不順
亜急性甲状腺炎は男性よりも女性に多く、月経不順を引き起こす人も少なくありません。
月経不順とは、通常25〜28日程度の周期で訪れる生理周期に乱れが生じる症状です。1週間ほどのずれが一般的ですが、人によっては数週間に及ぶことがあります。
通常、1週間程度の月経不順はよくあるため問題ありませんが、数週間程度経っても来なず、前述の症状がある場合は亜急性甲状腺炎や他の病気を疑いましょう。
亜急性甲状腺炎の注意点
亜急性甲状腺炎にはいくつかの注意点があります。ここでは、亜急性甲状腺炎の注意点について詳しく解説します。
風邪と間違いやすい
亜急性甲状腺炎は、風邪と間違いやすいため注意が必要です。
炎症による喉の痛みや腫れ、発熱する点がよく似ているため、亜急性甲状腺炎を風邪と勘違いしたまま放置してしまうことがあります。
亜急性甲状腺炎も風邪も自然治癒する病気ですが、状況によっては悪化する場合があるため、自己判断するのではなく専門医の診断を仰ぎましょう。
男性より女性がなりやすい
亜急性甲状腺炎は、男性より女性がなりやすい病気です。なかでも、30〜40代の女性がなりやすいとされているため、甲状腺の状態には常に注意が必要です。
なぜ男性と比べて女性の方がなりやすいのかははっきりとわかっていませんが、自己免疫が関係して起こる病気であることが判明しています。
もちろん、男性も油断できないため、普段の生活から気を付けることが重要です。
痛みが耳や鼻に広がることがある
亜急性甲状腺炎が悪化すると、痛みが耳や鼻に広がることがあります。顎や胸など他の部位にも痛みが広がる可能性があるため、早い段階での治療が必要です。
痛みが反対側に移ることがある
亜急性甲状腺炎は、痛みが反対側に移ることがあります。
最初は右側の甲状腺が痛かったのに、次第に左側の甲状腺が痛くなることがあるため、痛みの移動には注意が必要です。
無痛性の甲状腺炎がある
甲状腺炎には、無痛性のものがあります。無痛性とは、文字通り痛みのない症例です。
軽度の甲状腺炎は黙っていても自然治癒するため、特に痛みがなければ経過観察でも構いません。しかし、重度の甲状腺炎は他の病気になる可能性があるため、注意しましょう。
無痛性の場合は深刻な状況とはいえませんが、痛みがない状態から悪化する可能性もゼロではないため、警戒するに越したことはありません。
受診する際のポイント
亜急性甲状腺炎で病院を受診する場合、事前の情報共有で誤診を防ぐことが可能です。ここでは、受診する際のポイントについて詳しく解説します。
- いつ腫れに気づいたか
- 痛みはあるかどうか
- 体重は変化したか
- 家族歴はあるか
- 持病はあるか
病院では、いつ腫れに気づいたのか、痛みはあるかどうかを専門医と共有しましょう。
あわせて体重は変化したか、家族歴はあるか、持病はあるかも共有しておくと安心です。詳しく病状を伝えることで、より正確な診察が可能となります。
まずはどのような症状が見られるのか、詳しく専門医に伝えてください。
原則は経過観察で自然治癒する
亜急性甲状腺炎は、炎症が進行すると激しい痛み・腫れ・発熱を伴う可能性があるため、早い段階で病院を受診しておくのが良いでしょう。
炎症が激しい場合は、副腎皮質ステロイド薬を使用して様子を見ます。薬の使用後は、検査結果を踏まえながら専門医が観察を行い、最終的に完治が確認されれば治療終了です。
なかなか病院に行く時間がない場合は、経過観察して炎症が治まるか様子を見ましょう。数週間〜数ヶ月経過しても炎症が治まりそうにない場合は、病院を受診してください。
なお、亜急性甲状腺炎は1〜3月、6〜9月など冬や夏に発症しやすいことが分かっているため、流行しやすい季節には体調管理にお気を付けください。
まとめ
甲状腺が痛い場合、亜急性甲状腺炎が考えられます。亜急性甲状腺炎は、甲状腺で炎症が発生している状態で、人によっては激しい痛みを伴うため注意が必要です。
本来、亜急性甲状腺炎は炎症が進行すると喉や首だけでなく耳や鼻、胸にまで痛みが広がる可能性があります。
痛みは耐えられる場合はありますが、状況によっては耐えられないほど激しい痛みを伴う場合があるため、十分に注意が必要です。
どうしても痛みが消えない場合は、早めに専門医にご相談ください。
はまゆり糖・生活習慣病クリニック溝の口では、甲状腺疾患に対応可能です。
他にも糖尿病や生活習慣病など、日常生活と密接に関係している病気に対応可能なため、気軽にご相談いただけます。
当院は10年以上大学病院で勤務していた専門医が対応しており、幅広い病状に対応できます。検査結果をすぐに確認できる他、各種エコー検査にて他の疾患の評価も可能です。
溝の口駅から徒歩1分と駅近でアクセス良好なため、まずは気軽にご来院ください。