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糖尿病は完治できる?治療が難しい原因や寛解の方法を解説

[2024.07.08]

糖尿病は血糖値が基準値よりも高くなる病気で、放置していると合併症を引き起こす怖い病気です。

食生活の乱れや運動不足など、生活習慣の乱れが原因で発症する病気として知られている糖尿病は、一度かかってしまうと完治はできません。

しかし、初期の段階であれば寛解(かんかい)の状態に持っていけるため、早い段階から治療に取り組むことが大切です。

この記事では、糖尿病の完治が難しい理由や寛解の方法を紹介します。

糖尿病は完治できない病気!その理由は?

糖尿病は基本的には完治できない病気です。ここでは、完治できない理由を紹介します。

膵臓の機能低下が原因であるため

糖尿病が完治できないのは、細菌やウイルスのように外的な原因があるわけではなく、膵臓の機能低下によって引き起こされる病気であるためです。

そもそも、血液中のブドウ糖が多く、基準値よりも血糖値が高い状態になることを糖尿病といいます。

血糖値が高くなるのは、膵臓から分泌されるインスリンという血糖値を下げるホルモンの分泌量が少なかったり、機能しなかったりするのが原因です。膵臓の機能が低下してインスリンを出す力が弱まってしまうと、元のようには戻りません。

治療を中止すると元の状態に戻る

膵臓の機能が元の状態に戻ることはないため、治療をして高血糖が解消されても、治療を中止すると元の状態に戻ってしまいます

高血糖は、正しく治療を行うと正常範囲まで数値を下げることができます。

しかし、糖尿病になっている状態というのは、膵臓からのインスリンが足りていないか、正しく機能していない状態です。

長年の生活習慣によって低下した膵臓やインスリンの機能が完全に回復することはなく、治療を止めると再び高血糖になります。

糖尿病と診断されたあとは治療を行い、定期的に通院し病状をチェックし続ける必要があるため、その意味でも治療に終わりはないといえるでしょう。

1型でも2型でも治らないのは同じ

糖尿病には1型糖尿病と2型糖尿病がありますが、完治できないのはどちらも同じです。

1型糖尿病は膵臓のインスリンを出す細胞が壊れてしまい、自身でインスリンが作れなくなる病気です。

インスリンがないと血糖値は上がり続けてしまうため、毎日数回のインスリン注射等が必要となります。

1型糖尿病でも食事療法と運動療法は治療の基本で、過食してインスリンの注射量が増えると体重が増加し、他の病気を誘発する可能性もあります。

糖尿病は完治できないが寛解はできる

糖尿病は完治できませんが、寛解に持っていくことは可能です。ここでは、糖尿病の寛解について解説します。

寛解と完治の違い

完治は治療を終えて病気の症状が消失した状態であるのに対し、寛解は治療を続けながら病気の症状がほぼ消失した状態という違いがあります。

医学的に完治は病気の根源を無くし、完全に病気が治った状態であるため、糖尿病の完治はできません。

しかし、糖尿病に罹患している方の中には、きちんと治療を行って生活習慣を改善し、日常生活に支障が出ない状態まで回復している人も多くいます。

寛解の状態に持っていけば再発の可能性はあるものの、病気による体調不良や症状に悩まされることはありません。

なお、米国糖尿病学会は2型糖尿病の寛解について、「薬物療法を行っていない状態でHbA1c値6.5%未満が3ヵ月以上持続している状態」と定義しています。

参考:【米国糖尿病学会(ADA)】2型DM例への短期インスリン治療による「寛解」の成否は治療開始時「β細胞機能」と相関―RCT後付解析

2型糖尿病は寛解することもある

糖尿病は一生付き合わなければならない病気というイメージがありますが、2型糖尿病は寛解の可能性がある病気です。

2型糖尿病と診断されて治療をしている患者の中には、生活習慣の改善や一時的な薬物療法、肥満外科手術によって、血糖値が正常近くまで改善している方もいます。

新潟大学の研究グループによると、日本人の2型糖尿病患者のおよそ100人に1人が寛解し、特に肥満があって大きく体重を減らした患者ほど寛解が多いのも特徴です。

「糖尿病の罹患期間が短い」「薬物治療を受けていない」「HbA1cの値が低い」などの患者にも寛解が多くみられます。

また、1年間の体重の減少幅が5%以上の人は寛解後に再発する可能性が低くなっています。

これまで糖尿病は治らない病気と言われてきましたが、早期から適切な治療や生活習慣の改善を行うことによって寛解を目指すことは可能です。

1型糖尿病は寛解も難しい

1型糖尿病は、体質や免疫異常によって膵臓のインスリンを作るベータ細胞が破壊される病気であり、寛解が難しいとされています。

また、1型糖尿病は進行性の病気であり、自然に治癒することはなく、インスリン注射の治療も病気を根本的に治すものではありません。

一方、1型糖尿病の治療方法として膵臓移植や膵島移植があります。これは、移植によってインスリンを自身の体内で分泌できるようにするというものです。

膵臓移植は開腹手術が必要ですが、膵島移植は点滴のような形で肝臓の近くの血管に細胞を投与するため、少ない負担で行えます。

1型糖尿病の治療研究は現在も進められており、将来的には寛解できる病気になる可能性もあります。

糖尿病を寛解する方法

2型糖尿病は、正しい治療と生活習慣の改善で寛解できる可能性があります。ここでは、糖尿病を寛解する方法を紹介します。

まずは自分の身体の状態を知る

糖尿病は自覚症状が少ない病気であるため、自分の身体の状態を知るためにも、まずは医療機関に受診して検査を受けましょう。

糖尿病と診断されるまでには血液検査を受け、血糖値やHbA1cの数値を測り、基準値に比べて数値がどれくらい高いかを調べます。

糖尿病と診断されたら医師の指示に基づき、治療を進めていく流れです。

糖尿病は1型糖尿病と2型糖尿病が有名ですが、それ以外にも肝臓や膵臓の疾患、妊娠による糖尿病などもあります。

一口に糖尿病といっても治療方法は種類や原因によって異なるため、自身で判断せず、必ず医師の診察を受けてください。

食事療法を取り入れる

食事療法は糖尿病を寛解させるために有効な方法の一つです。

2型糖尿病は過食によって糖分の処理が追いつかなくなり、血糖値が上昇し続けることによってインスリンの分泌量や機能低下をもたらします。

そのため、カロリー過多にならないようにバランスの取れた食事を心がけ、膵臓に負荷がかからないようにすることが大切です。

また、糖尿病の食事療法では食事のメニューだけでなく、食べるタイミングや食べ方も重要なポイントになります。

食事は朝、昼、晩とバランスよく取り、朝食を抜いたり、寝る前に食べるのは控えましょう。

食事の順番は血糖値の急上昇を抑えるために、野菜⇒タンパク質⇒炭水化物の順番を意識してください。

運動療法を取り入れる

糖尿病を寛解させる方法として、運動療法も挙げられます。

2型糖尿病の原因は過食による肥満も含まれるため、運動によってエネルギーを消費し、肥満の解消を目指すのが効果的です。

さらに、運動を続けていると筋肉の活動量が増加し、インスリンの働きが改善される場合もあります。

糖尿病の運動療法は少ない負担で長く続けることが大切で、有酸素運動のウォーキングやジョギング、水泳などがおすすめです。

効果的な運動は週3回以上が望ましいですが、運動に費やせる時間がない場合は速足で歩いたり、階段を使ったりなどでもよいでしょう。

また、病態によっては運動しない方がいいケースもあるため、医師に相談しておく必要があります。

薬を飲む

糖尿病で服薬すると、一生飲み続けなければならないと思う方もいるかもしれませんが、寛解につながる場合もあります。

これは、糖尿病の初期段階であれば薬の効果によって膵臓を休ませることができ、それによって膵臓の働きが良くなる場合もあるためです。

食事療法や運動療法に取り組むことは前提ですが、最終的には薬がなくても問題ない状態になる可能性もあるでしょう。

薬物療法は、血糖値を下げるために行うという点では同じですが、薬の種類によって血糖を下げるアプローチは異なります。

そのため、副作用のリスクや血糖値を下げる以外のメリット、ライフスタイルを考慮したうえで医師と相談しながら薬を決めていきます。

糖尿病を放置すると起こること

糖尿病は血糖値が高くなる病気であり、初期段階では症状が見られないことも多いです。しかし、糖尿病を放置すると慢性合併症や急性合併症を引き起こし、命に関わる場合もあります。

ここでは、糖尿病を放置すると起こることを解説します。

症状が現れた時点ですでに進行している

糖尿病は初期症状が乏しい場合も多いため、症状が現れた時点ですでに進行している可能性があります。

初期症状が乏しいのは、糖尿病そのものは血液中のブドウ糖が増える病気であり、痛みやかゆみがなく自身も気づけないためです。

しかし、初期症状が乏しい糖尿病も進行すると以下の自覚症状が現れてきます。

  • 喉が渇く
  • 尿の回数が増える
  • 疲れやすくなる
  • 体重が減る

このような症状が出たら、糖尿病初期の段階ではなく、病気が進行している可能性が高いです。

慢性合併症を引き起こす

糖尿病を放置すると、高血糖な状態が続くことにより、全身の血管や神経に障害が出て、慢性合併症を引き起こす可能性があります。

慢性合併症の中でも特に怖いのが、透析につながる糖尿病性腎症、失明につながる糖尿病網膜症、足の切断の可能性がある糖尿病性神経障害の三大合併症です。

糖尿病の慢性合併症は、数年から数十年の経過でゆっくり生じ、気づかないうちに命に関わる危険な状態になっている場合もあります。

また、血管を傷つけることによって脳梗塞や心筋梗塞などのリスクも高まります。

さらに、高血糖の状態が続くと免疫機能が低下し、風邪やインフルエンザなどの感染症にもかかりやすくなるでしょう。

急性合併症を引き起こす

糖尿病に罹患している方が、脱水や清涼飲料水などの甘い飲み物を大量に摂取した際、急性合併症を引き起こすケースがあります。

急性合併症は異常な高血糖によって起こり、適切に治療をしなければ命に関わる怖い合併症です。急性合併症として、糖尿病ケトアシドーシスと高浸透圧高血糖症候群があります。

糖尿病ケトアシドーシスは2型糖尿病の方にもみられ、特に甘い飲み物を大量に摂取した場合に起こりやすいです。

発症すると、吐き気や呼吸困難、急に意識がなくなって昏睡状態に陥る場合もあります。

高浸透圧高血糖症候群も2型糖尿病の方に多くみられ、高血糖によって大量の尿が出て、最終的に重度の脱水を起こします。

軽度の錯乱や意識障害、眠気、昏睡、けいれん発作を引き起こすなど、さまざまな症状が現れます。

急性合併症は口の渇きや多尿、体重減少、全身倦怠感などの症状が急激に出やすいのも特徴です。このような症状がある場合は直ちに医療機関を受診しましょう。

まとめ

この記事では、糖尿病は完治の治療が難しい原因や寛解の方法を解説しました。

糖尿病は膵臓の老化や機能低下が原因で起こるため、完治はできないものの、寛解はできる病気です。

寛解の状態になれば治療は継続しつつも、病気の症状がなく、日常生活にも支障がなく日々を過ごせます。

糖尿病は症状が進行すればするほど寛解が難しくなるため、定期的に健康診断を受けて、糖尿病が疑われる場合は初期の段階から適切な治療を受けることが大切です。

糖尿病が気になる方や糖尿病の検査を受けたいという方は、はまゆり糖・生活習慣病クリニック溝の口にお気軽にご相談ください。

当院は糖尿病専門医が診療を行っており、専門医だからこそ可能な医学的根拠と診療経験に基づいた多様な治療方法をご提案させていただきます。

治療法を押しつけるのではなく、最適な治療法を見つけることを心がけています。まずは、お気軽にお問い合わせください。

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