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甲状腺が腫れる症状は女性に多い?原因や治療方法を解説

[2024.07.10]

甲状腺が腫れる病気といえばバセドウ病や橋本病が有名ですが、これらは男性に比べて女性に多いという特徴があります。

「なぜ甲状腺の病気は女性に多いのか?」「男性も甲状腺の病気にかかるのか?」など、疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。

そもそも甲状腺とは内分泌器官であり、新陳代謝や成長をつかさどる甲状腺ホルモンが分泌される器官です。

この記事では、甲状腺が腫れる症状が女性に多い原因や病気の種類、治療方法を解説します。

甲状腺が腫れる症状は女性に多く見られる

甲状腺の病気は、男性に比べて女性に多く現れやすい特徴があります。ここでは、甲状腺の病気が女性に多い理由を解説します。

甲状腺の病気が女性に多い理由

甲状腺の病気や腫れが女性に多い理由は明確にはわかっていませんが、自己免疫疾患にかかりやすいことが挙げられます。

甲状腺の病気であるバセドウ病や橋本病は、自己免疫が関係して起こる自己免疫疾患の一つです。

自己免疫疾患は免疫のシステムが機能しない病気の総称であり、女性に多い関節や皮膚など全身に病気がみられる膠原病も自己免疫が原因です。

自己免疫疾患が女性に多い理由も解明されているわけではありませんが、エストロゲンを中心とする性ホルモンの影響が大きいとされています。

ただし、自己免疫疾患に関係なく甲状腺の腫れを引き起こす病気においても、男性より女性の方がかかりやすい特徴があります。

甲状腺の働き

甲状腺は首にあって蝶が羽を広げたような形をしており、長径は3~5cmほどの器官で甲状腺ホルモンを分泌しています。

人の体では女性ホルモン、男性ホルモンなどさまざまなホルモンが作られており、甲状腺も甲状腺ホルモンを分泌する内分泌器官の一つです。

甲状腺では甲状腺ホルモンの主原料であるヨードを取り入れ、甲状腺ホルモンの合成を行っています。

男女で甲状腺の位置は異なっており、女性の方が男性よりもやや高い位置にあります。

甲状腺ホルモンの働き

甲状腺で作られた甲状腺ホルモンは血液の流れに乗り、全身の細胞に働きかけ、新陳代謝を活発化させる働きがあります。

代謝とは食事から取り込んだ糖分や脂肪を燃焼して、エネルギーを作り出し、心臓や胃腸の働きを活性化させます。

また、甲状腺ホルモンは自律神経を活発にし、脈拍や発汗の増加、コレステロールの低下などを起こすのも特徴です。

全身の体調や身体の機能に大きな影響を与えるホルモンであるため、頭の中のホルモン調整の中枢となる視床下部や、下垂体で分泌量の調整が行われています。

このように甲状腺ホルモンはさまざまな働きがあり、ホルモンの分泌量が多くても少なくても体調に異変が生じます。

甲状腺の腫れをもたらす病気は、ホルモンの分泌量が原因で発症するケースも少なくありません。

女性に多い甲状腺の腫れの原因

女性に多い甲状腺の腫れの原因には、甲状腺機能の異常や炎症、腫瘍が挙げられます。ここでは、甲状腺が腫れる原因を解説します。

甲状腺機能の異常

甲状腺機能の異常には、甲状腺ホルモンの分泌が過剰になる甲状腺機能亢進症と、甲状腺ホルモンの分泌が低下する甲状腺機能低下症があります。

甲状腺機能亢進症は新陳代謝が活発になりすぎて、ドキドキしたり、手足の震えがしたり、体重が減少するのが特徴です。

一方、甲状腺機能低下症は新陳代謝が低下するため、寒がりになったり、体重が増加したりします。

また、どちらにも共通しているのは甲状腺が腫れ、男性に比べて女性が発症しやすいという点です。

甲状腺機能の異常では、腫れる以外の症状は甲状腺に特有というものではなく、他の病気と間違われる場合もあります。

甲状腺の炎症

甲状腺が炎症を起こし、それによって甲状腺に腫れや痛み、しこりが生じる場合があります

炎症が起こる原因としてウイルス感染があり、発熱や倦怠感、発汗など風邪のような症状が見られる場合も多いです。

一方で、甲状腺の炎症の中でも無痛性甲状腺炎は発熱や甲状腺の痛みはなく、頻脈や手の震え、発汗過多の症状が起こる場合もあります。

甲状腺の炎症は自然に軽快することが多く、経過観察のみの場合もありますが、甲状腺機能の異常が原因の慢性炎症だと自然には治りません。

また、甲状腺の炎症も男性に比べて女性の割合が多い特徴があります。

甲状腺腫瘍

甲状腺の腫瘍には、甲状腺全体が腫れるびまん性甲状腺腫と甲状腺の一部に腫瘍ができる結節性甲状腺腫があり、いずれも甲状腺の機能異常を伴うことは少ないです。

甲状腺の腫瘍は良性と悪性に分類され、良性の場合は治療をしなくても生活の支障となることはありません。

しかし、腫瘍が大きく目立っている場合は手術で取り除いたり、治療で腫瘍を小さくしたりする場合もあります。

一方、悪性の場合は甲状腺がんとなり、大抵の場合は手術などの治療を進めていくのが一般的です。

甲状腺がんと言っても、乳頭がんや濾胞がん、髄様がんなどさまざまな種類があり、がんに応じて進行度や治療の難しさも異なります。

甲状腺の腫瘍が良性か悪性かは自身で判断できないため、腫瘍が確認できる場合は医療機関で検査を受けなければなりません。

また、甲状腺腫瘍に関しても男性より女性の方が多い特徴があります。

女性に多い甲状腺が腫れる病気と症状

女性に多い甲状腺が腫れる病気として、亜急性甲状腺炎やバセドウ病、橋本病が挙げられます。ここでは、それぞれの病気の特徴と症状を解説します。

亜急性甲状腺炎

亜急性甲状腺炎は、甲状腺内に炎症が発生し甲状腺組織が壊れる病気で、腫れに加えて痛みや発熱を伴うのが特徴です。

甲状腺の首の前面が痛くなる病気で、腫れは硬く、押すと強い痛みを感じます。男性より女性に多く、特に30~50代の女性に多く発症しやすい病気です。

甲状腺の炎症が起こる前に風邪の症状が見られる場合も多く、症状も似ているため、正しい診断にたどり着きにくい特徴もあります。

炎症によって甲状腺組織が破壊されることで、一過性の甲状腺中毒症状を引き起こし、甲状腺機能亢進症と似た症状を伴う場合も多いです。

また、数か月で上昇した甲状腺ホルモンも落ち着きますが、甲状腺ホルモンの枯渇によって一時的に甲状腺ホルモンが不足状態になることもあります。

放置していても自然に治癒する疾患ではあるものの、症状によっては投薬が必要になるケースもあります。

バセドウ病

バセドウ病は甲状腺機能亢進症の代表的な病気であり、男性よりも女性の方が多く発症し、特に20〜40代の女性に多く見られます

自己免疫反応によって生じた自己抗体が甲状腺を刺激し、甲状腺ホルモンを過剰分泌させる病気です。

自己抗体が作られる原因は分かっていないものの、バセドウ病になりやすい体質の人がウイルス感染やストレス、妊娠、出産をきっかけに起こると考えられています。

バセドウ病にかかると甲状腺が広範囲に腫れ、首部分の腫れが大きいと、下を向いたり腕をあげたりする場合に違和感が生じます。

また、腫れ方はゴムのように弾性があって柔らかいのが特徴です。

橋本病

橋本病は甲状腺機能低下症の代表的な病気であり、男性よりも女性の方が多く発症し、特に30〜40代の女性に多く見られます

自己免疫の異常によって甲状腺に慢性的な炎症が生じており、慢性甲状腺炎とも呼ばれている病気です。

橋本病だからといって全員の甲状腺ホルモンが少なくなるのではなく、大部分の人の甲状腺ホルモンは正常に保たれています。

甲状腺の腫れを伴う場合も多く、通常はゆっくりと進行し、次第にやや弾性で硬く腫れていくのが特徴です。

ただし、甲状腺機能低下症が進行したり、リンパ腫を合併したりすると、急速に腫れが大きくなって圧迫感が出てくる場合もあります。

甲状腺が腫れている場合の治療法やケア

甲状腺が腫れている場合は医療機関で診てもらい、病気や症状に合わせた治療法やケアを行っていきます。

ここでは、甲状腺が腫れている場合の治療法やケアを解説します。

薬物療法

甲状腺の機能異常によってバセドウ病や橋本病を発症した際には、薬物療法を中心とした治療を進めていくのが一般的です。

バセドウ病の場合は過剰に分泌されている甲状腺ホルモンを抑えるために、抗甲状腺薬を使います。

抗甲状腺薬で治療をしたからといって、永続的な甲状腺機能低下症になることはほとんどありませんが、体質によっては副作用が出たり、治っても再発したりする場合もあります。

橋本病は、甲状腺機能に問題がなければ治療は必要ありません。

甲状腺機能低下症の場合、足りない甲状腺ホルモンを補うための薬物療法を行いますが、ホルモンを補充しているだけとなるため、長期的な治療が必要です。

手術

甲状腺が腫れている原因ががんの場合、必要に応じて手術で腫瘍を取り除く治療を行います。

がんの摘出手術には、片側の甲状腺を切除する葉切除術や全摘出術がありますが、がんの大きさや場所、転移の有無によって異なるため一概にいえません。

手術を行うと、切除範囲が大きくなるほど甲状腺機能の低下や反回神経の麻痺が起こり、合併症のリスクも高まります。

一方、良性腫瘍の場合は基本的に治療は必要ないものの、腫瘍の一部に悪性腫瘍が潜んでいる場合もあるため、定期的に検査を受けなければなりません。

生活習慣に注意する

甲状腺が腫れている原因によっては、ストレスが引き金となり、自己免疫機能の低下を引き起こしている可能性もあります。

また、生活習慣によっては甲状腺の病気を悪化させる可能性があるため、病気に合わせたケアが必要です。

毎日同じ時間に起きたり、早寝早起きを心がけたりして、睡眠リズムを整えて十分に規則正しい生活を送りましょう。

ストレスと食事にも大きな関係性があるため、ビタミンやカルシウム、ミネラルなど、さまざまな栄養素をバランスよく摂取する必要もあります。

バセドウ病のように甲状腺ホルモンの分泌が多い場合は、激しい運動を避け、仕事においても心身に負担のかからない配慮が必要です。

ヨードを含む食品に要注意

ヨードは昆布やワカメ、のりなどの海藻類に多く含まれるミネラルで、甲状腺ホルモンを合成するために必要な成分です。

ヨードは甲状腺機能の維持に欠かせない一方で、過剰摂取すると甲状腺ホルモンが作られなくなり、甲状腺機能低下症を引き起こす場合があります。

特に橋本病においてはヨードを大量に含んだものを摂取し続けると、腫れが大きくなったり、機能が低下したりするため注意しましょう。

なお、甲状腺異常のない人がヨードを取りすぎてしまったからといって害があるわけではありません。

しかし、甲状腺に何らかの異常をもともと持っている人がヨードを取りすぎると、甲状腺機能低下症を引き起こす場合もあります。

まとめ

この記事では、甲状腺が腫れる症状が女性に多い原因や治療方法を解説しました。

甲状腺が腫れる原因には、甲状腺の炎症や腫瘍、機能異常などがありますが、いずれも男性に比べて女性に多いという特徴があります。

また、体質や病気によっては甲状腺が腫れず、だるさや無気力、原因不明の体調不良が続いて疲労と勘違いしてしまう場合も多く注意が必要です。

甲状腺の病気は早期発見と早期治療が大切で、少しでも気になる症状がある方は早めに医療機関を受診しましょう。

甲状腺の腫れや症状で気になることがある方は、はまゆり糖・生活習慣病クリニック溝の口にご相談ください。

当クリニックでは内分泌専門医が診察をし、甲状腺の異常が見られる場合は内科的治療を行います。10年以上の大学病院での勤務経験をもとに診察を行っており、安心してご相談いただけます。

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