甲状腺はどこにある?場所・形状・主な働きを詳しく解説
甲状腺に関する主な病気は、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)・甲状腺機能低下症(橋本病など)・甲状腺腫瘍の3つです。
しかし、甲状腺の病気は他の病気と勘違いしやすい症状が多く、勘違いしたまま放置してしまう人も少なくありません。
この記事では、甲状腺に関する主な病気、勘違いされやすい他の病気、原因、検査の流れについて詳しく解説します。
甲状腺の病気について知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
甲状腺に関する主な病気
甲状腺に異常をきたすと、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)・甲状腺機能低下症(橋本病など)・甲状腺腫瘍などの病気になりやすくなるのが一般的です。
ここでは、甲状腺に関する主な病気について詳しく解説します。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)
甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)は、甲状腺ホルモンが多くなる病気で、主に以下のような症状が見られます。
- 甲状腺の腫大
- 髪の毛の脱毛
- 眼球の突出
- 口の乾燥
- 息切れ
- 手足の震え
- 筋力の低下
- 体温の上昇
- 体重の減少
- 排便の増加
- イライラ
- 多汗
- 動悸
- 微熱
ここで挙げた症状が見られる場合、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)を発症している可能性があるため、早めに専門の医療機関に相談しましょう。
特に眼球の突出やイライラ、多汗や動悸は甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)の代表的な症状となるため、体調の変化にご注意ください。
甲状腺機能低下症(橋本病など)
甲状腺機能低下症(橋本病)は、甲状腺ホルモンが少なくなる病気で、主に以下のような症状が見られます。
- 倦怠感・疲労感
- 眉毛の脱毛
- 肌の乾燥
- 体重の増加
- 動作の減少
- 冷え性
- 眠気
- むくみ
ここで挙げた症状が見られる場合、甲状腺機能低下症(橋本病など)を発症している可能性があるため、早めに専門の医療機関に相談しましょう。
なかでも倦怠感・疲労感や冷え性、眠気やむくみは甲状腺機能低下症(橋本病など)の代表的な症状となるため、体調の変化にご注意ください。
甲状腺腫瘍
甲状腺腫瘍は、甲状腺に腫瘍ができる状態です。
甲状腺にできる腫瘍は大抵は良性であるため、単純な確率だけを見るとそこまで心配する必要はありません。
しかし、稀に良性ではなく悪性の腫瘍となる場合があるため、首にしこりや腫れが見られる場合は一度病院で検査した方が安心です。
良性腫瘍は経過観察となる場合が多いですが、悪性腫瘍は手術が必要となる場合も少なくないため、実績のある専門医に相談しましょう。
勘違いされやすい他の病気
甲状腺の病気は自律神経失調症や更年期障害、うつ病、肝臓病、心臓病、腎臓病、蕁麻疹、がん、高血圧、糖尿病、認知症などの症状と似ているため、勘違いしやすいです。
ここでは、勘違いされやすい他の病気について詳しく解説します。
自律神経失調症・更年期障害:全身の不調
甲状腺の病気と勘違いされやすいのが、全身の不調を引き起こす自律神経失調症・更年期障害です。
自律神経失調症・更年期障害は、全身のあらゆる面で不調を引き起こす病気で、代表的なものだと以下のような症状があります。
- 胃痛
- 筋肉痛
- 下痢
- 頭痛
- 動悸
- 吐き気
- 発汗
- 腹痛
- 火照り
- めまい
ここで挙げた症状のなかには、甲状腺の病気とよく似ているものがあるため、単なる全身の不調として放置してしまう場合も珍しくありません。
自律神経失調症・更年期障害は命に関わる病気ではありませんが、放置するとずっと体調不良が続き、他の病気に罹患しやすくなります。
ストレスによる病気の併発を引き起こしやすくなるため、早めの対処が必要です。
うつ病:全身の倦怠感や疲労感
甲状腺の病気と似ているのが、全身の倦怠感や疲労感を引き起こすうつ病です。
うつ病は、一日中気分が落ち込むといった精神的な症状や、食欲がない・疲れやすい・眠れないといった肉体的な症状が現れる病気となります。
日常的に精神的・肉体的ストレスを受け続けることで脳の機能に異常をきたし、正常な判断ができなくなる病気です。
メカニズムは甲状腺の病気とは違いますが、症状が似ているため勘違いされやすいです。
肝臓病:肝機能への影響
肝機能への影響をきたす肝臓病は、一部の症状が甲状腺の病気と似ています。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)と甲状腺機能亢進症(橋本病など)は、肝機能への影響を及ぼす場合があり、人によっては肝臓に不調を抱えやすいです。
実際に甲状腺の病気だと思っていたら肝臓病だったというケースがあるため、不調を感じた場合は専門医にご相談ください。
心臓病:息切れや動悸
息切れや動悸を引き起こす心臓病は、甲状腺の病気と似ています。
甲状腺の病気になると息切れや動悸を引き起こしやすくなり、症状だけ見ると甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)と勘違いしやすいです。
しかし、息切れや動悸が激しい場合は心臓病の可能性が考えられるため、悪化する前に心臓の専門医に相談しましょう。
腎臓病:むくみ
むくみを引き起こす肝臓病は、甲状腺の病気と似ています。
甲状腺の病気になるとむくみを引き起こしやすくなり、症状だけ見ると甲状腺機能低下症(橋本病など)と勘違いしやすいです。
しかし、むくみが激しい場合は肝臓病の可能性が考えられるため、悪化する前に肝臓の専門医に相談しましょう。
蕁麻疹:痒み
甲状腺の病気で蕁麻疹が出ることは稀ですが、どちらも痒みがあるために勘違いしやすい病気とされています。
甲状腺機能低下症(橋本病など)ではあまり痒みが見られないものの、甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)では肌の痒みが見られるため、注意が必要です。
皮膚を掻きむしるとバリア機能が損なわれ、さらに痒みが出るため無理に掻かないようにしてください。乾燥してカサカサしている場合は、皮膚科の専門医に相談しましょう。
がん:体重の減少
「甲状腺の病気を疑っていたらがんだった」というケースが稀にあるため、不安な場合は専門機関で精密検査を受けましょう。
甲状腺の病気は体重が減少することがありますが、がんも同様に体重が減少するため、体重の増減だけで判断するのは難しいです。
素人判断は治療を遅らせる原因となるため、生活習慣を変えていないにもかかわらず体重が減少し続ける場合は医療機関への相談を推奨します。
高血圧:血圧の増加
甲状腺の病気は、高血圧と勘違いされるケースがあります。血圧の増加は甲状腺の病気でも見られるため、どちらの病気なのかを判断するのは難しいです。
血圧はさまざまな病気で増減するため、定期的なチェックが望ましいでしょう。
糖尿病:高血糖
甲状腺の病気は、糖尿病と勘違いされやすいです。糖尿病の代表的な症状に高血糖がありますが、甲状腺の病気でも高血糖になりやすくなります。
高血糖の状態が長期間にわたって続くと血流が悪くなり、毛細血管が集中している場所に合併症を引き起こしやすくなります。
例えば、糖尿病性神経症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症は代表的な合併症になるため、十分に注意が必要です。
認知症:物忘れ
甲状腺の病気は、稀に認知症と勘違いされる場合があります。認知症の代表的な症状に物忘れがありますが、甲状腺の病気でも物忘れしやすくなります。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)では物忘れがあまり見られないものの、甲状腺機能低下症(橋本病など)では新陳代謝が低下して脳の働きが鈍くなります。
全身が老けていくような感覚に陥るのも、それぞれの共通点です。
脳が働いていないような状態や忘れっぽい状態が長く続いている場合は、甲状腺の病気だけでなく認知症も疑いましょう。
甲状腺の病気の原因
甲状腺には、特定の原因があるわけではありません。実際に現代でもはっきりとした原因は解明されておらず、何が原因で罹患するのかは不明なままです。
ここでは、甲状腺の病気の原因について詳しく解説します。
はっきりとした原因は解明されていない
甲状腺の病気は、はっきりとした原因が解明されていません。
最近の研究で免疫異常が原因とわかってきているものの、アレルギー・ウイルス・ストレスによって症状が悪化する例もあるなど、まだ解明しきれていない点があります。
甲状腺の病気は誰でもなる可能性があるため、油断は禁物です。
異常な自己免疫反応によるもの
甲状腺の病気は、異常な自己免疫反応によるものと考えられています。
人間の体には優れた自己免疫機能が備わっており、体内に侵入した異物を攻撃して体の機能を正常に保っています。
しかし、アレルギー・ウイルス・ストレスなど、外的要因が加わった際に免疫系が異常に働き、自己抗体が自ら甲状腺を攻撃するわけです。
結果、甲状腺の病気を発症するというのが最近の見解です。
生活習慣も原因となる
生活習慣も甲状腺の病気の原因になると考えられています。
例えば、飲酒や喫煙を頻繁に行っていたり、運動不足や睡眠不足など、不規則な生活を送っていたりする場合は甲状腺の病気になりやすいです。
運動不足や睡眠不足はストレスの原因にもなり、他の病気を併発しやすくなるため、規則正しい生活を送るよう心がけましょう。
甲状腺の主な検査
甲状腺の病気は、血液検査でホルモン濃度の測定、病気に有用な自己抗体の測定、超音波検査でしこりや腫れを観察することで検査可能です。
ここでは、甲状腺の主な検査について詳しく解説します。
血液検査でホルモン濃度の測定
甲状腺の主な検査方法の一つが、血液検査です。血液検査でホルモン濃度の測定を行うことで、甲状腺ホルモンが多いのか少ないのかを判断できます。
甲状腺ホルモンが多いのが甲状腺機能亢進症、少ないのが甲状腺機能低下症です。
ホルモンバランスの乱れは他の病気を併発する可能性があるため、甲状腺ホルモン以外のホルモンについても検査しておくと安心です。
甲状腺疾患の疑いがある場合は、まず血液検査を推奨します。
病気に有用な自己抗体の測定
甲状腺の病気を検査する場合、診断に必要な自己抗体を測定します。バセドウ病や橋本病など、甲状腺に関する病気は自己抗体が深く関係しています。
そのため、自己抗体の働きを調べて「どのような病気になりやすいか」を把握しておくのが重要です。
超音波検査でしこりや腫れの観察
甲状腺の主な検査方法の一つに、超音波検査があります。超音波検査でしこりや腫れの観察を行うことで、甲状腺ホルモンの影響を判断できます。
甲状腺ホルモンの影響でしこりや腫れが発生していても、目や耳での診察には限りがあるため、超音波を利用した方法が有効といえるでしょう。
なお、超音波検査は被曝の恐れがなく、痛みもないため、安心して検査を受けられます。どうしても怖い場合は、事前に医師に伝えておくとより安心です。
まとめ
甲状腺の病気は、主に甲状腺ホルモンが多い状態である甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)と甲状腺ホルモンが少ない状態である甲状腺機能低下症(橋本病など)があります。
命に関わる病気ではないものの、放置すると慢性的な体調不良が続き、合併症を併発する可能性があるため、早めの治療が必要となります。
はまゆり糖・生活習慣病クリニック溝の口では、甲状腺の病気をはじめとするさまざまな病気に対応しています。
当院は、大学病院で10年を超える勤務経験を持つ専門医が診察を行っており、糖尿病や生活習慣病の治療に特化した病院です。
甲状腺の病気についても診察可能なため、一度ご相談ください。
甲状腺の病気は悪化すると重大な病気につながる可能性もあるため、気づいた段階で対処することを推奨します。まずは、当院の公式ホームページをご覧ください。