メニュー

糖尿病の食事は何に気をつけたらいい?おすすめの食品や注意点を解説

[2024.06.25]

糖尿病は血糖値のコントロールが重要であり、そのためにはバランスの取れた食生活が必要となります。

食事療法は1型糖尿病や2型糖尿病の基本となりますが、特別なメニューが必要になるわけではありません。

また、糖尿病の食生活は食べるものに注目されがちですが、食べ方やタイミングなどを工夫することもポイントです。

この記事では、糖尿病の食事で気をつけることやおすすめの食品、注意点を解説します。

食事と糖尿病の関係

糖尿病の治療方法として食事療法があるように、食事と糖尿病には深い関係があります。

糖尿病は血糖値を下げるインスリンの分泌量が減ったり、インスリンの効きが悪くなり正常に作用しなかったりすることで高血糖になる病気です。

血糖値は糖質や炭水化物を摂取すると高まりますが、通常であればインスリンが分泌され、数時間のうちにもとの血糖値に戻ります。

しかし、糖質を摂取しすぎたり、血糖値を上昇させるような食べ方をしたりすると、血糖値が元に戻らなくなり糖尿病になるのです。

また、糖尿病には免疫機能が原因の1型糖尿病と生活習慣が原因の2型糖尿病があり、2型糖尿病は日本人の糖尿病患者の約95%を占めます。

1型糖尿病は予防が難しいですが、2型糖尿病は食事や生活習慣の改善で予防できる病気です。

糖尿病になっていない方も、糖尿病にかかるリスクを下げるために、食生活の見直しや改善は効果的といえます。

糖尿病の食事は糖質コントロールが重要!食品ごとにポイントを紹介

糖尿病の食事は糖質コントロールが重要となり、血糖値を急激に上げる食べ物や飲み物には注意が必要です。

ここでは、糖尿病の食事について食品ごとにポイントを紹介します。

穀物類

白米や菓子パンなどの精製穀物に比べ、玄米や全粒粉パンなどの全粒穀物は糖尿病リスクが低いとされています。

なぜなら、全粒穀物には食物繊維、ポリフェノール、ビタミンなどが豊富に含まれているためです。

全粒穀物は外皮や胚芽をそのまま食べられる穀物であるのに対し、精製穀物は外皮や胚芽が取り除かれています。

一方、全粒穀物の方が栄養分が豊富に含まれ、糖尿病に良いとされている食物繊維も多く含まれているため、糖尿病のリスクを抑えます。

肉類

糖尿病におすすめの肉類は豚肉です。

豚肉には、糖の代謝にかかわるビタミンB1が多く含有されているため、スムーズな糖代謝を促すことができます。

特にヒレ肉やモモ肉など脂身の少ない赤身に含まれているため、ビタミンB1の働きを助けるニンニクやタマネギと一緒に調理するとよいでしょう。

魚類

魚類は糖尿病のリスクを下げる効果があり、特にDHAやEPAが多く含まれているサケ、アジ、イワシ、サンマ、サバなどがおすすめです。

これらの魚類に含まれている脂質は、血糖値上昇を抑えるホルモンGLP-1の分泌を促進するとされており、インスリンの分泌も促します。

ただし、魚卵など塩分の多い魚介類を食べるときは、ご飯の摂取量も増えやすいため注意しましょう。

乳製品

ヨーグルトや牛乳などの乳製品は血糖値の上昇を抑える働きがあり、糖尿病予防におすすめの食品です。

乳製品は脂肪が多いため、「血糖値を上げそう」というイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、乳製品は「どれくらい糖質を吸収するか」を示すGIが低く、血糖値の上昇が緩やかになりやすい特徴があります。

ただし、乳製品の摂りすぎは脂肪過多につながるため、牛乳であれば食事と一緒に摂るのはコップ一杯にとどめましょう。

果物

糖尿病におすすめの果物は、カロリーが低くビタミンの豊富なキウイやブルーベリー、イチゴなどです。

一方でぶどうや柿、いちじくなどはブドウ糖を多く含み、血糖値が上がりやすいため摂取量に注意しましょう。また果物ジュースは吸収が早いため、果物そのものを食べるよりも血糖値が上がりやすいです。

菓子類

菓子類は糖質の過剰摂取につながりやすく、さらに間食として食べることが多いため、糖尿病予防の観点では控えた方がよいでしょう。

ただし、まったくお菓子が食べられないというわけではなく、寒天ゼリーやおからクッキーのように、糖質が少ないものであれば問題ありません。

また、おせんべいのように甘くなくても、米が原料のお菓子は糖質過多であるため、事前に量を決めて摂りすぎないように注意しましょう。

調味料

砂糖、みりんなどの調味料には糖質が多く含まれているため、過剰摂取にならないように注意しましょう。

また、調味料に含まれている糖質は食材に吸収されやすい性質もあり、少量でも血糖値が上がりやすい特徴があります。

アルコールは、アルコールの作用や代謝によって血糖値に影響を与え、飲み過ぎると糖尿病のリスクを高めます。

また、すでに糖尿病を発症している人が適量以上のアルコールを摂取すると、合併症のリスクを高めるため注意が必要です。

長年の多量飲酒で肝臓や膵臓に障害が生じると、糖質のコントロールが難しくなります。

糖尿病の食事で取り入れたい食材

糖尿病の食事で取り入れたい食材として、海藻類、野菜、豆類などが挙げられます。ここでは、それぞれの食材と糖尿病との関係を解説します。

海藻類

水溶性食物繊維が豊富に含まれている海藻類は、血糖値の上昇を緩やかにする働きがあるため、積極的に摂りましょう

水溶性食物繊維は、腸内細菌の組成や代謝物を変化させることで腸内環境の働きを改善し、腸内の炎症を抑える効果もあります。

特に糖質の吸収を抑える働きのあるアルギン酸が豊富に含まれている、わかめやこんぶ、もずくなどがおすすめです。

食物繊維が豊富な野菜

食物繊維は、消化・吸収されずに小腸を通って大腸まで達する栄養素であり、腸の働きを改善したり、糖質の吸収を緩やかにしたりなどの効果があります。

また、ブロッコリーや小松菜などの緑黄色野菜には、食物繊維以外にも糖の代謝を促す葉酸も多く含まれるため、積極的に摂り入れましょう。

なお、生野菜を食べるときにドレッシングを使用する際は、ドレッシングにも脂質や糖質が多く含まれているため、かけすぎないように注意が必要です。

豆類・種実類

糖尿病の食事におすすめの食材は、たんぱく質や食物繊維、ミネラルなどを豊富に含む大豆や枝豆です。

低糖質で低カロリーなうえに、血糖値の上昇を抑える働きがあり、さらに体に必要な栄養分も効率よく摂取できます。ただし、小豆や黒豆、甘い煮豆は糖質を多く含むため注意です。

また、ナッツも糖尿病におすすめの食材であり、特にアーモンドやクルミ、ピスタチオなどは糖質も少なく間食として摂取しても血糖値を上げにくい特徴があります。

ナッツ類を食べるときは、塩や植物油が使われていない素焼きタイプを選びましょう。

糖尿病の食事で気をつけるポイント

糖尿病の食事では、食材だけでなく食べ方も重要なポイントです。ここでは、糖尿病の食事で気をつけるポイントを紹介します。

食事の順番

食事は野菜→たんぱく質→炭水化物の順番にすると、血糖値の急激な上昇を防ぐことができます

野菜を一番先に食べるのは、食物繊維が多く含まれているため消化や吸収を穏やかにし、糖質の吸収を遅らせるためです。

また、肉や魚などに含まれるたんぱく質も食後の血糖上昇を抑える働きがあるため、野菜のあとに摂るのがよいでしょう。

ちなみに、先に野菜を摂取するのはコレステロールの吸収を抑える働きもあるためで、コレステロールが多い肉類より先に食べるのが基本です。

ご飯やパンなどの炭水化物を最後に摂ることで、食後血糖上昇を抑えられるため、食事の順番を意識しましょう。

よく噛んで食べる

糖尿病の食事では、よく噛んで食べて早食いを防止するのも重要となります。

早食いが糖尿病にNGな理由は、早食いをすると食後の血糖値が上昇しやすくなり、膵臓は短時間でインスリンを分泌しなければならないためです。

早食いをすると膵臓に負担がかかり、インスリンの分泌低下や分泌されても機能しないなどの問題が発生します。

一方、よく噛んで食べることで食事のスピードを抑えられるため、血糖値の急激な上昇を抑えられます。

食べすぎに注意

糖尿病の食事では食べすぎないように注意し、「あともう少し食べたないかな?」と感じるくらいの腹八分目で抑えましょう。

なぜなら、少し我慢をするくらいの方が血糖値が上昇しにくくなり、食事のバランスを取りやすくなるからです。

また、腹八分目で抑えることで糖質や脂質の過剰摂取を防ぎ、肥満防止につながるメリットもあります。

肥満はインスリンの分泌機能が低下し、血糖値が下がりにくくなって糖尿病の症状が悪化するため注意しなければなりません。

食事は抜かない

糖尿病予防のために糖質制限や炭水化物ダイエットをする方も多いですが、極端に食事を抜くことは推奨されません。

糖尿病の糖質制限で推奨されているのはゆるやかな糖質カットであり、自己判断で極端に糖質を除外すると糖質コントロールが乱れる可能性があります。

また、糖質制限で朝食を抜くのもNGであり、朝食を抜いてしまうと昼食や夕食後の急激な血糖上昇を引き起こすため注意しましょう。

その理由は、適正なエネルギー量であっても1日1回〜2回にまとめて食べると、1回の食事量が増えてしまうためです。

食後の高血糖状態を招くことにより、インスリンの分泌機能を担う膵臓に大きな負担をかけることになります。

寝る前に食べない

就寝前に遅い夕食や夜食を食べることで、体重増加や高血糖が引き起こされやすくなるため注意しましょう。

寝る前に食べるのが糖尿病にとってNGな理由は、就寝時にインスリンの働きが鈍くなり、寝ている間に高血糖の状態になるためです。

そうならないためにも、夕食は就寝の2~3時間前までに済ませておきましょう。

寝る前にお腹が空いてしまう場合はコップ1杯の水を飲むか、温かいノンカフェインのお茶など、カロリーがないものを摂りましょう。

間食に注意する

糖尿病の場合、間食で糖質や脂質が多いお菓子をたくさん摂るのはNGです。

基本的にお腹が空くのは食事の前ですが、それを待てずにお菓子を食べてしまうと、食事前に血糖値が上昇します。

間食によって血糖値が上昇し、下がる前に食事だと、食事中や食後も長い時間にわたって血糖値が高い状態が続き、膵臓に負担をかけてしまいます。

しかし、急激な血糖値の上昇を起こさない食品であれば、間食しても問題ないケースもあります。

具体的にはアーモンドやあたりめ、小魚などカロリーの低いもので、糖質や脂質が多いお菓子は控えましょう。

なお、最近はカロリーゼロやノンカロリーと表示されている食品や飲料も多いですが、実際には少々カロリーが含まれています。

また、糖類ゼロの食品は砂糖こそ含まれていないものの、人工甘味料が含まれており、中には血糖値を上げる作用があるものもあるため注意しましょう。

まとめ 

この記事では、食事と糖尿病の関係、おすすめの食品や注意点などを紹介しました。

糖尿病はインスリンの分泌が低下したり、作用しなくなったりすることで、血糖値が高くなる病気です。

そのため、血糖値が急激に上昇する食べ物や飲み物は避け、食べ過ぎに注意しましょう。

また、食事を摂るときは食物繊維が多い野菜から摂取し、次に肉や魚のたんぱく質、最後に炭水化物を摂取するだけでも血糖値の上昇は抑えられます。

糖尿病の食事が気になるという方は、ぜひ本記事を参考にしてみてください。

はまゆり糖・生活習慣病クリニック溝の口は、糖尿病と内分泌専門の医師で、生活習慣病に対して専門的治療を行っています。

相談しながら最適な治療法を見つけていくことに力を入れており、治療法を押しつけることはありません。

糖尿病専門医だからこそできる、医学的根拠と診療経験に基づいた多彩な治療方法を提案させていただきます。

また、当院では血糖値や尿検査の結果を当日に説明し、必要に応じて生活改善や薬剤の使用などを提案します。

糖尿病で気になる症状がある方、食事制限についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME