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糖尿病の初期症状は?放置するリスクや早期治療の重要性を紹介!

[2024.06.20]

国民病ともいわれている糖尿病は身近な病気であり、インスリン分泌の減少や作用に問題が起こることで発症します。

糖尿病は放置すると失明や人工透析などのリスクもあるため、早期に発見して治療を行うことが重要です。

一方、糖尿病の初期症状はわかりにくい場合も多く、気づかないうちに進行しているケースもあります。

日頃の健康診断はもちろんのこと、少しでも違和感が見られる場合は自主的に医療機関を受診しましょう。

この記事では、糖尿病の初期症状や放置するリスク、早期治療の重要性などを紹介します。

糖尿病の初期症状はわかりにくい

糖尿病はなるべく早期に発見して治療を開始し、合併症を予防することが重要です。しかし、糖尿病の初期症状はわかりにくく、進行してから発覚するケースも多くあります。

ここでは、糖尿病の初期症状がわかりにくい理由を解説します。

糖尿病は少しずつ進行する

日本人が多く罹患している2型糖尿病は、ある日突然血糖値が高くなるのではなく、生活習慣や加齢により、徐々に糖尿病に近づくのが一般的です。

糖尿病の初期は血液中の糖分が増えているだけなので、痛みやかゆみも起こらず、自身で気づくことができません。

一方で、糖尿病罹患者の全体5%程度にあたる1型糖尿病は、発症してから1週間前後でインスリン依存状態のケースもあるなど急速に進行しやすい特徴があります。

そのため、2型糖尿病に比べて1型糖尿病の方が、発症から早期のうちに症状が現れるケースが多いです。

健康診断で発覚することが多い

糖尿病は、自覚症状をきっかけに医療機関を受診して発覚するだけでなく、健康診断で発覚することも多くあります。

空腹時の血糖値は80mg~90mg/dLが一般的で、100mg/dL以上になると検査などの対策が必要となり、126mg/dL以上になると糖尿病の診断基準です。

また、126mg/dL未満でも110mg~125mg/dLの場合は境界型と呼ばれ、糖尿病の予備軍の状態を示します。

毎年健康診断を受けている場合は、血糖値がどのように推移しているかを把握することが大切です。

糖尿病の基準値に満たしていなくても、年齢を重ねるごとに血糖値が上がっている場合は、将来的に糖尿病を発症する可能性があります。

糖尿病の初期症状

糖尿病の初期症状はわかりにくいものの、まったく症状がないわけではありません。ここでは、糖尿病の初期に多い症状を解説します。

喉が渇く

糖尿病の初期症状として、いつも以上に喉が渇きやすくなることが挙げられます。

喉が渇くのは、血液中の糖分が増えることで血液がドロドロになり、体が糖の濃度を下げようと水分を欲するためです。

血液がドロドロすると血管が弾力を失い、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞などの発症リスクが高まります。

このようなリスクから体を守るために、喉が渇きやすく水分を多くとるようになるのです。

汗をかいたり塩辛いものを食べたりしたわけではないのに、喉が異常に渇くような場合は、医療機関で診てもらうことをおすすめします。

疲れやすい

糖尿病の初期症状として、いつも以上に疲れやすくなることが挙げられます。

疲れが起こる原因は、インスリンの作用不足によって体を動かすために必要なエネルギー源である糖を、細胞が取り込めなくなるためです。

ただし、疲労感は過労や睡眠不足、貧血などさまざまな原因で起こりやすい症状であるため、原因を特定するためにも医療機関で診てもらいましょう。

食事をしても体重が減る

いつも通りの食事をしていて体重が減るのも、糖尿病の初期に多い症状の一つです。

インスリンの作用不足によって糖をエネルギーとして使えなくなると、体内の脂肪や筋肉のタンパク質を分解してエネルギー源にします

そうなると、これまで以上に脂肪やタンパク質が使用されるため、食事をしても体重が減ってしまいます。

糖尿病が進行してくるとインスリンが極度に不足し、急激に体重が減少してくるため、早めに診察を受けて治療を行う必要があります。

空腹感が強くなる

糖尿病の初期症状として、空腹感が強く現れやすいことも挙げられます。

空腹感が生じるのは、初期の糖尿病だと血糖値の上昇に対応する形で、一時的にインスリンの分泌量が増えるためです。

「糖尿病はインスリンの分泌が減るのでは?」と思うかもしれませんが、初期の頃は高くなった血糖値を抑えるためにインスリンが過剰分泌されることもあります。

血糖値が下がるとエネルギー不足となり、体は機能を正常に保つために食事をとるように働きかけ、その際に空腹感が生じる仕組みです。

糖尿病の初期症状を放置すると合併症のリスクが高まる

糖尿病の早期発見や治療が重要なのは、放置すると合併症のリスクが高まるためです。ここでは、糖尿病の合併症について解説します。

合併症とは

糖尿病の合併症とは、高血糖が続くことで血管が傷つき、それに伴って引き起こされる病気のことです。

そもそも合併症とは、ある病気が原因となって起こる別の病気を指し、糖尿病にもさまざまな合併症があります。

なお、糖尿病には3大合併症と呼ばれるものがあり、神経障害の『し』、目の病気の『め』、腎症の『じ』の3文字を合わせて『しめじ』と覚えます。

失明のリスクがある

糖尿病の合併症の一つである糖尿病網膜症を発症すると、視力低下を引き起こし、最終的には失明するリスクがあります。

網膜には細い血管が張り巡らされており、高血糖の影響を強く受けることが失明する原因です。

糖尿病網膜が進行すると毛細血管が高血糖のために弱くなり、毛細血管が閉塞し、足りなくなった酸素を取り入れるために網膜に新生血管が生まれます。

さらに、新生血管が破れて硝子体が出血し、新生血管の周囲に繊維膜が生じて網膜剥離を引き起こします。

網膜剥離は眼底から網膜が剥がれ、光や色を感じる働きがなくなり、視力障害が起こる仕組みです。

手足のしびれや感覚の鈍化が起こる

糖尿病の合併症の一つである糖尿病性神経障害を発症すると、手足のしびれや感覚の鈍化などが起こりやすくなります。

これらの症状が起こるのは、血糖が上昇して神経に糖の代謝物が蓄積されたり、神経に血液が流れにくくなることで神経細胞がダメージを受けるためです。

しびれ以外にも、足先や足裏がジンジンしたり、足先がほてったり冷たく感じたりするなどの症状が現れることもあります。

糖尿病性神経障害が進行すると、足の感覚が鈍化してケガにも気づきにくくなり、最悪の場合は感染や壊死が起こって足の切断が必要です。

また、神経障害が起こることによって、狭心症や心筋梗塞などを発症しても痛みに気づかず、治療が間に合わなくなるリスクもあります。

腎臓の働きが悪化して人工透析が必要になる

糖尿病の合併症の一つである糖尿病性腎症を発症すると、腎臓が正常に働かなくなることで人工透析が必要になるケースがあります。

人工透析とは、機能が低下した腎臓に代わって体内に蓄積されている余分な水分・塩分を取り除いて血液を浄化する方法です。

腎臓には血圧調整や塩分、水分、老廃物の排出を行う役割があるため、人工透析を行わないと命にも関わります。

ただし、糖尿病性腎症になったからといってすぐに人工透析が必要になるわけではなく、まずは食事療法や薬物療法を行います。

人工透析は腎臓の働きを人工的に補う治療法であるため、腎臓の機能を回復させることはできず、腎移植を受けない限りは生涯必要です。

糖尿病性腎症は初期の自覚症状が少ないため、定期的な血液検査や尿検査を行い、自身で健康管理を行うことも大切です。

傷の治りが遅くなる

糖尿病が進行すると傷の治りが遅くなる場合があります。

これは高血糖になることで血管の機能が低下し、傷を治すための栄養分や酸素などを患部に供給できなくなるためです。

また、高血糖になると免疫機能が低下し、病原体を撃退する白血球の働きも鈍くなるため、ささいな傷でも炎症を起こしやすくなります。

さらに、神経障害が起こっていると傷ができても気づくことができず、対処が遅れてしまって悪化するようなケースもあるでしょう。

糖尿病で傷の治りが遅くなるのは、血流障害、神経障害、免疫機能の低下など、さまざまな原因が複雑に絡み合って起こります。

糖尿病は早期の治療や予防が重要

糖尿病の治療は食事療法、運動療法、薬物療法などがありますが、初期の段階であれば食事療法と運動療法が基本です。

これらは血糖をコントロールし、血管の損傷を防いだり、合併症を予防したりするために行います。ここでは、糖尿病を早期発見する方法や生活習慣の注意点などを解説します。

自覚症状がなくても定期検診を受けよう

糖尿病の初期だと自覚症状がないケースも多いため、早期発見のためにも定期検診を受けましょう。

定期検診で血糖値に異常が見られたり、医師から指摘されたりする場合は、生活習慣の改善が必要です。

なお、定期検診では糖尿病に関連している数値として、血糖値とHbA1cがあり、それぞれの数値が正常かどうかを確認します。

HbA1cは、酸化ヘモグロビンがどれくらいの割合で存在しているかをパーセントで示し、基準値は5.5%以下で、6.5%以上になると糖尿病型と呼ばれます。

糖尿病にならない生活習慣を心がけよう

糖尿病にならないためには日々の生活習慣を見直し、健康的な生活習慣を身につけることが重要です。

糖尿病予防で重要になるのは肥満防止で、そのためには食事の量や栄養バランスにも注意しましょう。

食事はゆっくりと時間をかけて食べるのが基本で、決まった時間に食べることもポイントです。

ただし、糖尿病を気にしすぎて糖質や炭水化物を極端に摂取しないと、低血糖を引き起こし、意欲低下や意識障害のリスクが高まるため注意しましょう。

また、糖尿病にならないためには適度な運動も必要で、運中性脂肪を減らし、筋肉をつけて基礎代謝を向上させることにつながります。

運動の内容としては、有酸素運動や軽いトレーニングがおすすめで、負荷が強いトレーニングだと体に負荷がかかってしまうため注意しましょう。

喫煙は血糖を上昇させるだけでなくインスリンの働きを妨げるためNGで、アルコールも肝臓や腎臓に負担をかけ、血糖が下がりにくくなるため注意が必要です。

少しでも気になる症状がある場合は早めに受診しよう

糖尿病を疑う症状が少しでもある場合は、定期検診を待たず早めに医療機関を受診しましょう。

糖尿病で自覚症状が見られる場合は症状が進行している可能性もあり、早期の対策が必要になるケースもあります。

「何となく疲れる」「いつもより喉が渇く」のように、いつもと体の様子が異なるときも思い過ごしと判断せず、医療機関を受診して調べてもらうことが大切です。

また、糖尿病の症状の中には、他の病気で見られる症状も多く、受診することで病気を早期に見つけられる場合もあります。

なお、病院によっては検査結果を当日に説明してくれるところもあるため、その日のうちに体の状態を知ることも可能です。

まとめ 

この記事では、糖尿病の初期症状について解説しました。

糖尿病は初期症状がわかりにくい特徴があるものの、喉の渇きや倦怠感、食事をしても体重が減るなどの症状が出るケースもあります。

糖尿病の初期症状を放置すると合併症を引き起こし、失明したり、腎臓の働きが低下して透析が必要になったりする場合もあるため注意が必要です。

自覚症状がなくても定期検診を行い、少しでも気になる症状がある場合は、医療機関を受診して体の状態を調べましょう。

はまゆり糖・生活習慣病クリニック溝の口では、大学病院で糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病治療に従事してきた医師が診察を行っています。

糖尿病専門医だからこそ実現できる医学的根拠と、診療経験に基づいた多彩な治療方法を提案させていただきます。

治療方法を押し付けるのではなく、相談しながら一人ひとりに合った最適な治療法を見つけることを心がけています。

糖尿病で気になる症状がある方や、糖尿病について不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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