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糖尿病にはどんな症状がある? 1型・2型・合併症ごとに紹介

[2024.06.18]

糖尿病は、何らかの原因でインスリンの分泌が低下したり、インスリンが正常に作用しなくなったりすることで起こる病気です。

血糖コントロールが重要で、早い段階であれば合併症を予防することもできます。

糖尿病は初期症状に気付きにくいケースもありますが、日常生活において何らかの症状が見られる場合もあります。

少しでも症状が見られる場合は医療機関を受診し、原因を特定してもらうことが重要です。この記事では、糖尿病で見られる症状について、1型・2型・合併症に分けて紹介します。

1型糖尿病の症状

1型糖尿病は、膵臓のインスリンを出す細胞が何らかの原因により壊されてしまう病気です

「糖尿病は生活習慣病や先天性で起こる」と思う方もいるかもしれませんが、1型糖尿病は生活習慣や遺伝に関係なく起こる可能性のある病気です。

1型糖尿病を発症した場合には、インスリン注射でインスリンを補充する必要があり、食事療法や運動療法による効果はほとんど期待できません。

1型糖尿病を発症すると何らかの症状がみられることが多く、2型糖尿病に比べて急激に症状が出てくるケースもあります。

ここでは、1型糖尿病の初期症状を紹介します。

体重の急激な減少

1型糖尿病の初期症状として、体重の急激な減少が挙げられます。

体重が減少するのは、膵臓から分泌されるインスリンが減少し、糖分をエネルギーとして利用できなくなるためです。

糖分をエネルギーとして利用できなくなると、筋肉や脂肪を分解してエネルギーを得ようとするため、食事を摂取していても体重が減少します。

また、1型糖尿病は症状が急激に進むことが多く、それに伴ってインスリンも正しく作用しなくなるため、体重減少も急激に起こりやすいというわけです。

食事をしていても急激な体重減少が起こるのは糖尿病以外でも起こり得るため、いずれにしても医療機関を受診しましょう。

強い倦怠感

1型糖尿病の初期症状として、強い倦怠感が挙げられます。

倦怠感が生じるのは、インスリンの作用が低下して糖を細胞内に取り込むことができず、エネルギー不足になるためです。

体を動かすためには糖が必要ですが、糖尿病になると糖を使うことができず、疲れを感じやすくなります。

頻尿

1型糖尿病の初期症状として、多尿・頻尿が挙げられます。

多尿になるのは、腎臓で高くなりすぎた血糖を多量の水分と一緒に排泄するためです。

なお、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上になると頻尿といわれますが、それ以下でも普段より多い場合は注意しましょう。

喉の渇き

頻尿の症状が見られる場合は、喉の渇きも合わせて起こる場合が多くあります。

なぜなら、排尿の量が増えることによって体内の水分が減少して脱水状態となり、喉や口が渇きやすくなるためです。

また、糖尿病にかかると血液がドロドロになるため、これを解消するために体が水分を欲することも理由として挙げられます。

2型糖尿病の症状

2型糖尿病は、遺伝的要因や生活環境などが原因でインスリンの分泌が低下する、もしくはインスリンの効きが悪くなり、高血糖になる病気のことです。

糖尿病の多くが2型糖尿病であり、中高年に多く発症しやすく、初期症状がほとんど見られないという特徴があります。

生活習慣病としての糖尿病は2型糖尿病を指し、緩やかに進行していくため、自覚症状がないまま健診を受けて発覚するケースも多いです。

しかし、2型糖尿病も進行すると症状が現れるようになるため、少しでも異変を感じる場合は早めに受診しましょう。

ここでは、2型糖尿病の症状を紹介します。

体重減少

2型糖尿病も体重減少が見られる場合が多いですが、1型糖尿病に比べると緩やかに減少しやすい特徴があります。

体重が減少するのは、インスリンが十分に働かず、血液中の糖分がエネルギーとして使われないため、筋肉や脂肪を分解するためです。

食事をしても、体重が減少している状態だと糖尿病はかなり進行している可能性もあるため、早めに医療機関で診てもらいましょう。

皮膚の乾燥

2型糖尿病の症状として、皮膚の乾燥が挙げられます。

皮膚が乾燥するのは、血糖値が高い状態が続いて血液中のブドウ糖が排出されるため多尿が起こりやすく、その際に体の水分も失われてしまうためです。

また、糖尿病で自律神経障害が起こると発汗が損なわれてしまい、汗をかきにくくなって皮膚の水分量が保持できなくなります。

「皮膚がカサカサする」「白い粉をふいたようになる」「ひび割れたようになるなどの症状が見られる」場合は、要注意です。

性機能の問題

2型糖尿病の症状として、勃起障害(ED)が挙げられます。

EDになるのは、血管の機能障害が起こったり、自律神経の障害が起きるためです。

また、血糖値が高い状態が続くと性欲をもたらすテストステロンと呼ばれる男性ホルモンが低下し、性欲の低下につながる場合もあります。

眠気

2型糖尿病の症状として、眠気が挙げられます。

眠気が起こるのは、食事をたくさん食べることで急激に血糖値が上昇し、インスリンの分泌が正常に行われないことで高血糖の状態が続くためです。

高血糖で眠気を感じやすいのは、覚醒を促すオレキシンというホルモン分泌が抑制されることが理由としてあります。

ただし、食後は誰でも血糖値が一時的に上昇するため、糖尿病でない人が眠気を感じることも少なくありません。

食後の眠気が長く続いたり、症状が強く出たりする場合は注意しましょう。

糖尿病の合併症による症状

糖尿病になっても自覚症状が現れない場合もありますが、それでも治療が必要となるのは合併症のリスクがあるためです。

糖尿病の方の中には、合併症を引き起こして強い症状が生じたことをきっかけに受診して病気が発覚するケースも少なくありません。

なお、糖尿病の合併症には『糖尿病網膜症』『糖尿病性腎症』『糖尿病性神経障害』があり、これらを糖尿病の三大合併症といいます。

ここでは、糖尿病の合併症による症状を紹介します。

手足のしびれ

糖尿病の合併症による症状として、手足がジンジンしたり、足の裏に紙が張り付いたような感じがするしびれなどがあります。

しびれが起こる原因は、血糖値が上昇して神経に糖の代謝物が蓄積されたり、神経への血液の流れが悪くなったりなどで神経細胞がダメージを受けるためです。

最初は足の裏や足の指などにしびれを感じ、糖尿病が進行すると手の指にもしびれを感じるようになります。

さらに、重度になると手足の感覚が鈍くなってしまい、痛みを感じないためケガをしていることにも気付けません。

立ちくらみ

糖尿病の合併症による症状として、立ちくらみが挙げられます。

立ちくらみが起こるのは、糖尿病が進行すると神経障害を発症して自律神経に影響を及ぼし、血圧のコントロールが正常にできず低血圧状態になるためです。

また、糖尿病による動脈硬化によって血流が詰まりやすくなり、動脈に流れる血液が一瞬途絶えることで一時的に立ちくらみが起こる場合もあります。

足のむくみ

糖尿病の合併症による症状として、足のむくみが挙げられます。

足のむくみが起こるのは、高血糖によって腎臓の機能が低下し、老廃物をろ過する機能が低下して血管外に水分がにじみ出るためです。

症状がさらに進行するとむくみは体全体に生じるようになり、この状態をネフローゼ症候群といいます。

ネフローゼ症候群になると老廃物が血中にたまり、腎不全や尿毒症などが進み、最悪の場合は命に関わる危険な状態になります。

目のかすみ

糖尿病の合併症による症状として、目のかすみやぼやけて見えるなどが挙げられます。

目のかすみが起こるのは、糖尿病で血糖コントロールが悪い状態が続くと、網膜の血管が破れてタンパク質や脂質が網膜に沈着するためです。

放置すると網膜剥離を起こすこともあり、視力低下や失明の原因になるケースもあります。

他にも視野にすすがかかったようなものや、黒い幕がかかって見える場合は糖尿病による合併症の可能性があります。

傷が治りにくい

糖尿病の合併症による症状として、ケガをしたときに傷が治りにくくなることが挙げられます。

傷が治りにくくなるのは、高血糖によって血管の機能が弱まって血液の流れが悪くなり、傷を治すための栄養分や酸素が供給されにくくなるためです。

また、糖尿病による神経障害によって痛みを感じにくくなり、傷そのものに気づくことができず、対処が遅れてしまって傷の治りが遅くなる場合もあります。

感染症に罹患しやすくなる

糖尿病の合併症による症状として、感染症に罹患しやすくなることが挙げられます。

感染症にかかりやすくなるのは、血糖値が高くなることによって白血球の機能が低下し、免疫反応が低下するためです。

白血球は、体内にウイルスや細菌が侵入した際に取り囲んで撃退する働きがあり、機能が低下するとウイルスや細菌が増殖しやすくなります。

糖尿病で罹患しやすい感染症は以下の通りです。

  • 尿路感染症
  • 上気道炎
  • 歯周病
  • 皮膚感染症
  • 胆のう炎

また、感染症に罹患すると血糖値がさらに上昇しやすくなるため、早めに治療を行う必要があります。

吐き気

糖尿病の合併症による症状として、吐き気が挙げられます。

吐き気が起こるのは、糖尿病の合併症によって胃の働きが悪くなり、食後の満腹感や胃のむかつきなどが起こるためです。

また、急性合併症で吐き気や嘔吐が起こるケースもあり、意識障害や腹痛などの症状も合わせて現れる場合が多くあります。

このような状態を糖尿病性ケトアシドーシスといい、血糖値を下げるインスリン不足が原因でブドウ糖の利用が阻害されて起こる合併症です。

発汗異常

糖尿病の合併症による症状として、極端に汗をかいたり、かかなかったりなどの発汗異常が挙げられます。

発汗異常が起こるのは、高血糖によって汗のコントロールを行っている自律神経の働きが悪くなるためです。

また、糖尿病になると糖分をエネルギーに変えることができず、脂肪を分解して使用するため、甘酸っぱいニオイになりやすい特徴もあります。

さらに、糖尿病になると汗のニオイの変化とともにべたつきを感じることもあり、いつもと汗の質が異なっていると感じる場合は糖尿病の可能性もあるため注意しましょう。

糖尿病の症状が見られる場合は医療機関を受診

糖尿病の症状が少しでも見られる場合は、医療機関を受診して検査を受けましょう。

糖尿病は放置していると合併症を引き起こす可能性が高くなるため、早期に診断し、治療を始めることが大切です。

血糖値が高いままでいると神経や目、腎臓など、さまざまな箇所で病気を引き起こすリスクがあるため、血糖のコントロールが重要になります。

なお、糖尿病の治療は食事療法、運動療法、薬物療法の3つがあり、1型糖尿病の場合はインスリン療法が必須です。

症状が見られなくても血液検査で血糖値が空腹時に126mg/dl以上、食後200mg/dl以上になった場合は早めに受診しましょう。

糖尿病が疑われる場合の受診先は糖尿病内科がおすすめで、専門知識を持った糖尿病専門医に診てもらいましょう。

まとめ

この記事では、糖尿病の症状について1型、2型、合併症に分けて解説しました。

糖尿病は何らかの原因でインスリンが分泌されなくなったり、正しく作用しなくなったりすることで高血糖になる病気です。

高血糖の状態が続くと目や神経、腎臓に大きなダメージを与え、最終的に命を失うリスクもあります。

そうならないためにも、日頃から健康診断を受けて血糖値の状態を把握し、少しでも症状が見られる場合は早めに医療機関を受診しましょう。

また、糖尿病で見られる症状の中には、他の病気で見られる症状もあるため、健康維持のためにも原因を特定することは大切です。

はまゆり糖・生活習慣病クリニック溝の口は、10年以上の大学病院での勤務経験を持つ糖尿病専門医が診察を行います。

当院では、HbA1c、血糖値、尿検査(定性)の検査結果を当日にご説明し、各種超音波検査で他の疾患の診断を受けていただくことが可能です。

糖尿病専門医だからこそ可能な医学的根拠と、診療経験に基づいた多様な治療方法を提案させていただきます。

糖尿病について少しでも気になる症状や不安がある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

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