メニュー

糖尿病の三大合併症は?その他の合併症と確認項目を解説

[2024.07.01]

糖尿病は、合併症を併発しやすい病気です。主な合併症には、糖尿病網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性神経障害などがあります。

ここで挙げた三大合併症の他にも、糖尿病はさまざまな合併症を引き起こすため、注意が必要です。この記事では、糖尿病の三大合併症や、その他の合併症について詳しく解説します。

糖尿病の合併症について知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

糖尿病の三大合併症

糖尿病には、糖尿病網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性神経障害の三大合併症があります。糖尿病になると合併症を併発する可能性があるため、注意が必要です。

ここでは、糖尿病の三大合併症について詳しく解説します。

糖尿病網膜症:目の病気

糖尿病網膜症は、糖尿病が原因で発症する目の病気で、成人の失明原因の第2位です。

網膜の毛細血管が閉塞して血行が悪くなる病気で、硝子体の出血や黄斑部の浮腫、症状が進行すると牽引性の網膜剥離を引き起こし、最悪の場合は失明します。

日本では毎年多数の方が糖尿病の合併症として糖尿病網膜症を発症し、視力を失っています。

糖尿病の方は目に異常が見られなくても、一度眼底検査を受けるなど、できることから始めておくのが重要です。

もし目に異常を感じた場合は、早急に専門医にご相談ください。

糖尿病性腎症:腎臓の病気

糖尿病性腎症は、糖尿病が原因で発症する腎臓の病気で、進行すると人工透析が必要となる病気です。

腎臓には毛細血管が密集しており、本来はここで血液がろ過され、老廃物が尿として体外に排出されます。

しかし、糖尿病性腎症になると毛細血管が脆くなり、正常にろ過できなくなります。血糖コントロールが良くないと尿の異常が現れ、腎不全に発展し、最悪の場合は人工透析が必要です。

糖尿病の方は、長期的に高血糖が続くことで腎臓の病気になりやすいため、症状がなくても定期的に微量アルブミン尿や蛋白尿などの検査を受けましょう。

糖尿病性神経障害:神経の病気

糖尿病性神経障害は、糖尿病が原因で発症する神経の病気で、末梢神経の感覚が鈍ることでさまざまな神経障害を引き起こします

糖尿病性神経障害になると、痛みや温度を感じる感覚神経、手足を動かす運動神経、内臓の働きを自動調整する自律神経などの末梢神経に支障をきたします。

以下のような症状が現れます。

・起立性低血圧
・顔面神経麻痺
・瞳孔の異常
・筋力の低下
・手足の痺れ
・下痢・便秘
・頻脈・徐脈
・多汗・乏汗
・勃起不全

以上のように、糖尿病性神経障害は全身に影響を及ぼす病気です。

感覚が鈍ることで怪我や火傷に気づかず、壊疽を引き起こし、最悪の場合は手足の切断が必要となる例も珍しくありません。

また、自律神経が乱れることで血糖コントロールが困難となり、他の合併症を併発するリスクもあります。

糖尿病は万病のもとになる病気であるため、生活習慣の改善の他、日々自分自身の体調や様子をチェックすることも重要です。

その他の合併症

糖尿病は三大合併症の他にも、さまざまな合併症を引き起こす可能性があります。糖尿病にだけ気を付けていればいいわけではないため、他の合併症にも注意が必要です。

ここからは、その他の合併症について詳しく解説します。

感染症などの免疫疾患

糖尿病の方は、免疫力が落ちることで感染症などの免疫疾患を発症しやすいです。

人間には、免疫が働くことによって感染症から身を守る機能が備わっていますが、糖尿病になると免疫力は通常の人と比べて低下します。

結果、感染症をはじめとする合併症を引き起こしやすくなるため、ウイルスや細菌などの感染源と離れた生活を送る必要があります

血管に関する循環器疾患

糖尿病の方は、血管に関する循環器疾患に陥りやすいです。特に、高血糖が続くと以下のような合併症を発症します。

  • 高血圧
  • 脂質異常
  • 動脈硬化

糖尿病になると動脈硬化が進み、高血圧や脂質異常を引き起こします。肥満体型の方をはじめ、飲酒や喫煙を行う方は動脈硬化がさらに進むため、注意が必要です。

動脈硬化は、脳梗塞や心筋梗塞など重大な病気の原因となるため、血糖コントロールが欠かせません。

循環器疾患は脳疾患や心疾患とも密接に関わっており、放置すると脳や心臓にまで影響を及ぼします。脳梗塞や心筋梗塞は命を落とす可能性もあるため、早めの治療が重要です。

骨粗鬆症などの骨疾患

糖尿病は、骨粗鬆症などの骨疾患を引き起こしやすいです。高血糖が続くと、骨を新しくする力が落ち、骨の新陳代謝が起こりにくくなります。

結果、骨が脆くなる骨粗鬆症を引き起こしやすくなるわけです。高血糖は骨に含まれるコラーゲン繊維も不健康にし、古くて質の悪い骨を残しやすくします。

骨の質が良くないと骨密度が一定でも骨折しやすくなるため、日常生活にも支障をきたす可能性があります。

歯周病などの口腔疾患

糖尿病は、歯周病などの口腔疾患を引き起こしやすいです。

高血糖が続くと歯周組織の血管が脆くなり、歯周病が進行しやすくなります。高血糖は歯を支える骨(歯槽骨)が損なわれ、歯そのものを失う原因となります。

どれだけ歯磨きをしても根元が脆いと歯は抜けやすくなるため、食事も満足に取れなくなるかもしれません。

三大合併症を防ぐ方法

糖尿病の三大合併症は、迅速に予防することで対策が可能です。

一度糖尿病になると血糖コントロールが難しくなり、さまざまな合併症を引き起こすリスクがありますが、方法によっては症状の進行を抑えられます。

ここからは、三大合併症を防ぐ方法について詳しく解説します。

網膜症を防ぐ方法

糖尿病による網膜症を防ぐためには、以下の点に気を付けましょう。

  • 眼科で定期的な眼底検査を受ける
  • 良好な血糖コントロールを保つ

まずは、眼科で定期的な眼底検査を受けることが重要です。眼底検査とは、目の病気を早期発見・治療するために行われる検査で、全身血管の状態が予想できます。

眼底は、体外から血管を直接確認できる唯一の場所で、眼底を見れば全身の血管の状態がある程度予測可能とされています。

糖尿病にも眼底検査は有効で、定期的に検査を受けることでさまざまな病気を予防できます。もちろん、糖尿病網膜症を防ぐためには良好な血糖コントロールも欠かせません。

糖尿病は血糖コントロールで進行を抑えられるため、糖尿病専門医のアドバイスに従って生活習慣を見直しましょう。

腎症を防ぐ方法

糖尿病による腎症を防ぐためには、以下の点に気を付けましょう。

  • 血圧を130/80mmHg未満に維持する
  • 良好な血糖コントロールを保つ

腎臓の病気は血圧と密接に関わっており、血圧を130/80mmHg未満に維持するのが理想とされます。血圧は高すぎても低すぎても血管に負担がかかるため、一定の値を守るのが理想です。

糖尿病はどうしても血圧が高くなりやすいため、普段からナトリウムの摂取量を減らし、カリウムや食物繊維を意識的に摂取するのが良いでしょう。

摂取カロリーを制限しつつ、お酒やタバコはやめ、適度に運動・睡眠を取るのが効果的です。その他、ストレスを溜め込まないよう定期的に気分転換できる環境を整えます。

まずは、血管を健康に保つよう意識して生活しましょう。

神経障害を防ぐ方法

糖尿病による神経障害を防ぐには、以下の点に気を付けましょう。

  • 手足を定期的に観察する
  • 良好な血糖コントロールを保つ

糖尿病は神経を麻痺させ、手足の感覚が通常の人と比べて鈍くなります。怪我や火傷をしても気づかない人もいて、炎症や感染症になって初めて気づく人もいるほどです。

ガラスの破片を踏んでも気づかない人もいるため、事故がなくても普段から手足を定期的に観察しましょう。観察が難しい場合は、糖尿病専門医に診てもらってください。

糖尿病を防ぐ生活習慣

糖尿病は、普段の生活に気を付けることで進行を遅らせることが可能です。しかし、具体的に何から始めれば良いかわからない方もいるかもしれません。

ここからは、糖尿病を防ぐ生活習慣について詳しく解説します。

飲酒・喫煙はしない

糖尿病を防ぐためには、飲酒・喫煙はしないのが重要です。

過度な飲酒を行うと、アルコールを分解する過程で血糖値が上がります。同様に、喫煙を行うと、交感神経が刺激されて血糖値が上がります。

飲酒・喫煙は糖尿病になるリスクを上げてしまうため、禁酒・禁煙が望ましいです。

お酒やタバコは血糖値を下げてくれるインスリンの分泌を阻害する影響があるため、飲み過ぎや吸い過ぎには気を付けましょう。

きちんと運動を行う

糖尿病を防ぐためには、きちんと運動を行うのが重要です。

歩ける距離であれば意識的に歩くようにし、時間があるなら20〜30分程度のウォーキングやランニングを行いましょう。特に、有酸素運動は糖尿病のリスクを抑える効果が期待できます。

ただし、強度の強い運動は長続きしない他、糖尿病の方にとってリスクがあるため、まずは散歩など強度の弱い運動から始めるのが良いでしょう

運動に苦手意識を持っている人は、庭仕事など自然と体を動かせるような生活を心がけたいです。できるだけ階段を利用するなど、できる範囲で体を動かすことを推奨します。

しっかりと睡眠を取る

糖尿病を防ぐためには、しっかりと睡眠を取るのが重要です。

睡眠不足が慢性化すると、空腹時の血糖値が上昇しインスリン分泌量が低下することで血糖コントロールが困難となり、糖尿病が進行しやすくなります。

眠れないとストレスが溜まって自律神経が乱れ、より生活習慣の乱れにつながります。生活習慣が乱れると食生活にも影響が発生するため、血糖コントロールが困難です。

まずは睡眠を意識的に取るようにし、1日6〜8時間は寝るようにしましょう。どうしても眠れない場合は、糖尿病専門医のアドバイスに従って生活習慣を改善してみてください。

ストレスを溜めない

糖尿病を防ぐためには、ストレスを溜めないようにしましょう。ストレスは万病のもととされており、糖尿病にも悪影響を及ぼす厄介な存在です。

人間は、ストレスを感じるとアドレナリンやコルチゾールというホルモンが分泌されます。このホルモンはストレスに耐えるために必要なホルモンなので、本来は必要なものです。

しかし、アドレナリンやコルチゾールは血圧・心拍数・血糖値を上げてしまいます。

ストレスを受け続けるとインスリンに対する感受性が鈍くなり、血糖値が下がりにくい体質になることで高血糖が続き、糖尿病になりやすくなります。

すでに糖尿病の方もストレスの影響を受けるため、日頃から溜めないのが理想です。ただし、ストレスを完全に回避するのは難しいため、適度に発散することが重要です。

定期的な健康診断

糖尿病は誰でもなる可能性があるため、定期的な健康診断が必要です。糖尿病は自覚症状があまりない病気だけに、気づかないうちに進行しています。

人によっては、症状が悪化して初めて気づくことも珍しくありません。病状の進行で感覚が麻痺していると、危険な状態になっていても気づけない場合があります。

まずは健康診断を定期的に行って、自分自身の適正体重を把握しましょう。適性体重とは、身長に対する適切な体重のことで、健康を維持するためには欠かせない基準です。

特に肥満は30代を過ぎた頃から急激に増加するため、意識的に健康的な生活を送るよう心がけましょう。

暴飲暴食はしない

糖尿病に限らず、暴飲暴食は避けましょう。

食生活が乱れていると糖尿病のリスクが上がるだけでなく、その他の病気にもかかりやすくなります。食生活が健康を支える土台となるため、毎日の食生活の見直しは重要です。

栄養が偏っていないか、特定の食材ばかり選んでいないか、野菜を適度に摂取しているかなど、意識的に食生活を見直しましょう。

糖尿病の人は食生活の乱れによって症状が悪化する場合もあるため、健康を維持できる食生活に切り替えましょう。

まとめ

糖尿病は、糖尿病網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性神経障害という三大合併症に気を付けなければなりません。

目や腎臓、神経は糖尿病によって影響を受けやすい部位で、最悪の場合は失明や手足の切断にもつながります。悪化すると最悪の事態を引き起こすため、十分に注意が必要です。

他にも糖尿病の合併症はいくつか存在するため、まずは糖尿病専門医のアドバイスを受けましょう。

はまゆり糖・生活習慣病クリニック溝の口では、糖尿病専門医による診察を行っています。

専門医による医学的根拠と診療経験に基づき、患者さま一人ひとりに合った治療方針で進めていくのが当院の方針で、一緒に相談しながら最適な治療法を見つけます。

患者さまに適した治療方法を選択することで、無理なく治療ができる環境が整っているため、ぜひ一度ご相談いただけますと幸いです。

当院は高度医療機関とも連携しているため、対応が困難な方でも速やかに連携病院のご紹介が可能です。

糖尿病は適切な治療を行えば進行を遅らせることが可能なため、まずは悪化する前に一度お問合せください。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME