甲状腺の役割とは?ホルモンが引き起こす問題や改善する方法を解説
甲状腺とは、喉仏の下にある部分で脳の働きを維持したり、新陳代謝を促進したりと色々な役割を持つ器官です。
甲状腺ホルモンと呼ばれるホルモンの増減によってさまざまな症状が出るため、どのような役割を持っているのか知っておくことが重要となります。
この記事では、甲状腺の役割、ホルモンが引き起こす問題、働きを改善する方法、日常生活で意識することについて詳しく解説します。
甲状腺の役割とは?
甲状腺とは、喉仏の下にある蝶々のような形をした部位です。人間が生きるために必要なホルモンを分泌する器官で、ホルモンの増減によって体調が左右されることも珍しくありません。
ここでは、甲状腺の役割とは何かについて詳しく解説します。
脳の働きの維持
甲状腺は、脳の働きを維持する役割があります。
脳の働きを維持する部位は他にも多数ありますが、甲状腺はホルモンの分泌によって脳全体の働きを司っており、生命活動に欠かせない部分です。
脳の発達にも深く関係しているとされており、大人から子どもまで成長・発達に欠かせない器官といえるでしょう。
新陳代謝の促進
甲状腺は、新陳代謝を促進する役割があります。
普段、人間は血管や筋肉によって新陳代謝を行っていますが、甲状腺がうまく機能しなければ正常に新陳代謝ができません。
新陳代謝を促進するためには甲状腺が必須で、生きていくために必要不可欠な部分です。
成長や発達の促進
甲状腺は、成長や発達を促進する役割があります。
通常、人間は年齢を経て成長や発達が進みますが、甲状腺がうまく機能しなければ正常に成長や発達ができません。
成長や発達を促進するためには甲状腺が必須で、育つためには必要不可欠な部分です。
エネルギーの調整
エネルギーの調整は、甲状腺が持つ重要な役割の一つです。
人間の体は食べ物や飲み物を摂取することでエネルギーを生産し、そのエネルギーを消費することで生命活動を行っています。
しかし、人によってはエネルギーの調整がうまくできず、ストレスや疲労を貯め込んでしまう場合があります。甲状腺は、このエネルギーの調整を担う器官です。
甲状腺が働くことでエネルギーの生産と消費が一定に保たれ、健康的な生活を送れるようになるため、甲状腺は人間の体に欠かせないものといえるでしょう。
自律神経の調整
自律神経の調整は、甲状腺が持つ重要な役割の一つです。
人間の体は自律神経によって無意識に生命が維持されており、呼吸・体温・血圧・心拍・消化・代謝・排尿・排便などが常に行われています。
しかし、人によっては自律神経の調整がうまくできず、慢性的な体調不良にあう場合があります。甲状腺は、こうした自律神経の調整を担う器官です。
甲状腺が働くことで自律神経が整い、健康的な生活を送れるようになります。
体温の調整
甲状腺は、体温の調整に欠かせません。
人間の体には体温を調整する機能が最初から備わっていますが、外的要因によって体温がうまくコントロールできなくなることがあります。
しかし、甲状腺は体温が下がると上がり、上がると下がるように調整してくれるため、適切な体温を保つために必要不可欠です。
内臓の調整
甲状腺は、内蔵の調整に欠かせません。
人間の体には内蔵を調整する機能が最初から備わっていますが、内的要因によって内蔵がうまくコントロールできなくなることがあります。
しかし、甲状腺は内蔵の機能を性能になるよう調整してくれるため、適切な内蔵を保つために必要不可欠です。
脈拍数の調整
甲状腺は、脈拍数の調整を担っています。脈拍数とは、一定の時間内に心臓が拍動した回数のことで、通常は1分間の回数で計測するのが一般的です。
しかし、脈拍数は人によって違い、早い人もいれば遅い人もおり、本人にとってベストな脈拍数を維持することが健康維持に欠かせません。
甲状腺は脈拍数にも関係しており、心臓の健康を保つためにも必要不可欠といえるでしょう。
甲状腺ホルモンが引き起こす問題
甲状腺は、甲状腺ホルモンの増減によって病気になる場合があるため、多すぎても少なすぎても駄目です。ここでは、甲状腺ホルモンが引き起こす問題について詳しく解説します。
甲状腺系の病気になる
甲状腺ホルモンは常に増減していますが、増えすぎたり減りすぎたりすると甲状腺疾患になります。主な甲状腺系の病気は、以下の通りです。
- 甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)
- 甲状腺機能低下症(橋本病など)
- 甲状腺腫瘍
甲状腺ホルモンが多い場合が甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)、甲状腺ホルモンが少ない場合が甲状腺機能低下症(橋本病など)です。
甲状腺ホルモンが多いと甲状腺の働きが過度に活発になり、脈が速くなったり、体温が上がったりします。
対して、甲状腺ホルモンが少ないと甲状腺の働きが過度に緩慢になり、動作が鈍くなったり、体温が下がったりします。
健康を維持するためにはちょうど良い甲状腺ホルモンのバランスを維持しなければならず、どちらか片方が優位になるのは好ましくありません。
他には甲状腺腫瘍もあり、8〜9割が良性腫瘍で悪性腫瘍は1〜2割になるため、経過観察で済む場合がほとんどです。
しかし、稀に命を脅かす病気を併発する可能性があるため、注意が必要となるでしょう。
不調を抱えやすい
甲状腺ホルモンは、多すぎると不調を抱えやすくなりますが、少なすぎても不調を抱えやすくなるため注意が必要です。
ここでは、甲状腺ホルモンが多い場合と少ない場合に見られる体調の変化について詳しく解説します。
症状はチェックリスト形式にしているため、当てはまるものがあればチェックしてみてください。
ホルモンが多い場合
甲状腺ホルモンが多い場合に見られる症状は、以下の通りです。
- 脈が速くなる
- 体温が上がる
- 落ち着きがなくなる
- イライラしやすくなる
- 疲れやすくなる
- 汗をかきやすくなる
- 食べているのに痩せる
- 手足に力が入らない
- 手足が震える
- お腹が緩くなる
甲状腺ホルモンが多くなると、脈が早くなったり、体温が上がったりします。
また、落ち着きがなくなったり、イライラしたり、疲れやすくなったり、汗をかきやすくなったりと色々な体調不良が見られるため普段から注意が必要となるでしょう。
人によっては、食べているのに痩せる、手足に力が入らない、手足が震える、お腹が緩くなるなどの影響が出やすいため、注意深い観察が欠かせません。
全体的に甲状腺ホルモンが多いと、体の活動が活発になるイメージです。
ホルモンが少ない場合
甲状腺ホルモンが少ない場合に見られる症状は、以下の通りです。
- 動作が鈍くなる
- 体温が下がる
- 常に眠くなる
- 筋力が衰える
- 便秘がちになる
- 運動しても汗をかかない
- 食事量は変わらないのに太る
- 子どもの成長が遅くなる
甲状腺ホルモンが少なくなると、動作が鈍くなったり、体温が下がったりします。
また、常に眠くなったり、筋力が衰えたり、便秘がちになったりとさまざまな体調不良が見られるため注意が必要となるでしょう。
人によっては、運動しても汗をかかない、食事量は変わらないのに太る、子供の成長が遅くなるなどの影響が出やすいため、注意深い観察が欠かせません。
全体的に甲状腺ホルモンが少ないと、体の活動が緩慢になるイメージです。
甲状腺の働きを改善する方法
甲状腺の働きは一定ではなく、活発になったり緩慢になったりを繰り返すのが一般的です。ここでは、甲状腺の働きを改善する方法について詳しく解説します。
お風呂でリラックスする
甲状腺の働きを改善するためには、お風呂でリラックスするのが効果的です。
お風呂は、全身に付着した汗や汚れを洗い流すのが目的ですが、全身をお湯の力で暖めてリラックスさせる目的もあります。
甲状腺はリラックス状態を作り出すことで働きが改善されるため、シャワーではなくバスタブにきちんと浸かるのが重要です。
お風呂はストレスや疲労を軽減し、睡眠の質を向上させる役割も期待できるため、理想としては毎日入るのが望ましいです。
体力的・精神的に大変でも、しっかりとお湯で体を温めてリラックス効果を高めるのが理想といえます。
食事のバランスを整える
甲状腺の働きを改善するためには、食事のバランスを整えるのが効果的です。
食事は、健康維持に欠かせない栄養素を摂取するのが目的で、脂質・炭水化物・タンパク質をはじめビタミンやミネラルをバランスよく摂取するのが理想となります。
現代人は、インスタント食品やコンビニ弁当によって食生活が乱れている人がいるため、普段からバランスの良い食事を心がけましょう。
ストレスを解消する
ストレスは「万病のもと」といわれており、甲状腺の働きに影響するため、改善したい場合は定期的にストレスを解消することが欠かせません。
生きている以上、ストレスを感じずに生活するのは不可能です。しかし、ストレスを溜め込まないよう定期的に発散することは可能です。
例えば、運動や睡眠で発散したり、スポーツで発散したり、その他の趣味で発散したりとストレス発散の方法は尽きません。ストレスが溜まってきた場合は、意識的に発散しましょう。
日常生活で意識すること
ここでは、日常生活で意識することについて詳しく解説します。
疑わしいときに採血とエコーを受ける
甲状腺の状態を知るためには、血液検査と超音波検査が有効になるため、疑わしい症状がある場合に採血とエコーを受けるのが良いでしょう。
甲状腺の病気は、甲状腺ホルモンの増減によって引き起こされるため、まずは甲状腺ホルモンがどのような状態にあるかを知ることが重要です。
甲状腺の病気は命に関わることはあまりないものの、稀に甲状腺がんなど危険な病気を発症する場合があるため、定期的に検査を受けることを推奨します。
体調の変化を見逃さない
甲状腺の病気は、自覚症状があまりないまま進行するケースがあるため、体調の変化を見逃さないようにしましょう。
人によっては単なる体調不良で片付けてしまう場合があり、病院に行かずに放置することがあります。
甲状腺の病気は適切な治療を行えば良好な経過をたどることが多いですが、がんなど最悪の事態も稀に発生するからこそ、体調の変化は見逃さないようにしましょう。
風邪と断定しない
甲状腺の病気は風邪とよく似ていて、医者でも風邪と診断するパターンがあります。
しかし、甲状腺の病気と風邪は別物であるため、早々に風邪と自己判断するのではなく、専門医に診てもらうのが望ましいです。
甲状腺を診察できる専門医であれば誤診を防ぎ、より的確に診断してくれるでしょう。
まとめ
甲状腺は脳の働きの維持、新陳代謝の促進、成長や発達の促進、エネルギーの調整、自律神経の調整など、生命維持に欠かせない役割を持っています。
体温・内蔵・脈拍数の調整など、健康を維持するための機能が備わっています。
しかし、甲状腺ホルモンの増減によって過度に活発になったり、緩慢になったりと体調が変化するため、わずかな予兆を見逃さないことが重要です。
特に甲状腺の病気は風邪と似ているため、注意が必要です。素人判断をすると誤診につながる可能性があるため、まずは専門医にご相談ください。
はまゆり糖・生活習慣病クリニック溝の口では、甲状腺の病気を診察可能です。診断結果がすぐに出るため、今すぐに体の状態を知りたい方に最適となっています。
糖尿病・生活習慣病をメインに対応しているものの、甲状腺についても詳しい医師が在籍しているため、まずは気軽にご相談ください。
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