糖尿病とは?
糖尿病は生活習慣病のひとつとして知られています。厚生労働省の調査によると、日本では糖尿病患者(強く疑われる人)は推定約1100万人、予備軍は推定約700万人いると報告されています。成人ではおよそ6人に1人が該当しており、糖尿病は誰にとっても身近な病気として「国民病」とも呼ばれています。性別で見ると男性のほうが女性よりも糖尿病リスクが高く、年代では50代からリスクが高まり、60代や70代で増加する傾向があります。
糖尿病は自覚症状がほとんどないため、健康診断で指摘されるまで気づかないケースも少なくありません。糖尿病は死亡する病気ではありませんが、合併症のリスクが高まるため、「放置すると怖い病気」であると認識することが大切です。
参考資料:厚生労働省「令和6年(2024年)国民健康・栄養調査」
糖尿病とは?
糖尿病は、血糖値を下げる「インスリン」が原因で慢性的に血液中のブドウ糖(血糖)が増えてしまう(血糖値が高くなる)病気です。通常、食事で摂取した糖は、インスリンという膵臓から分泌されるホルモンによって細胞に取り込まれます。しかし、糖尿病では、インスリンの分泌量が不足していたり、インスリンの働きが悪くなっているため、ブドウ糖が血液中に溜まりやすくなり、血糖値が高い状態が続きます。
糖尿病のメカニズム
糖尿病は、インスリンの分泌不足やインスリンの作用不足によって発症します。インスリンの分泌量が少なくなると、血液中の糖を細胞に取り込むことができなくなり、血糖値は高い状態が続きます。また、インスリンが十分に分泌されていても、体の細胞がうまく反応せず糖を取り込めなくなる状態(インスリン抵抗性)になり、血糖をコントロールするのが難しくなります。
糖尿病の診断と注目すべき検査値
糖尿病の診断には、以下の検査項目の基準値が用いられます。一般的に、1回目の検査とは別日にも検査を行い、いずれも基準値を超えている場合に「糖尿病」と診断されます。なお、例外として、典型的な高血糖症状があり、血糖値やHbA1cが明らかに基準値を超えている場合には、1回の検査で診断されることもあります。
空腹時血糖値:126㎎/dl以上
随時血糖値:200㎎/dl以上
75g経口ブドウ糖負荷試験:2時間値200㎎/dl以上
HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー):6.5%以上
尿糖:陽性
糖尿病予備軍の検査値は以下の通りです。
空腹時血糖値:110〜125mg/dL(IFG:空腹時血糖異常)
75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値:140〜199mg/dL(IGT:耐糖能異常)
HbA1c:5.7〜6.4%
糖尿病の種類
糖尿病は大きく分けて「1型糖尿病」「2型糖尿病」「妊娠糖尿病」「その他の糖尿病」に分けられます。それぞれ発症の原因や特徴が異なります。
1型糖尿病
1型糖尿病は、自己免疫の異常が原因で膵臓のβ細胞が壊され、インスリンが分泌されなくなることで高血糖状態になる病気です。一般的に、幼児から15歳以下の小児期に発症することが多いです。極度の喉の渇き、頻尿、体重減少などの症状が現れます。
2型糖尿病
2型糖尿病は、インスリンの分泌低下とインスリンの作用性の両方が原因で発症する病気です。インスリン分泌不足やインスリン抵抗性によって血糖値が高くなります。日本人の糖尿病患者の約95%がこの2型糖尿病です。40歳以上に多く見られますが、近年では生活習慣の変化により若い世代でも増えています。
妊娠糖尿病
妊娠糖尿病は、妊娠して初めて発見される糖代謝異常です。胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリンの働きが悪くなり、インスリンを壊す酵素も分泌されることがあります。その結果、妊娠していない時よりもインスリンの量が少なくなり、働きも悪くなるため血糖値が高くなります。妊婦の7〜9%が妊娠糖尿病と診断されています。
その他の糖尿病
その他の糖尿病には、特定の原因が明確であるタイプが含まれます。例えば、遺伝子の異常によって若年で発症する「MODY」と呼ばれる糖尿病や、慢性膵炎や膵切除など膵臓の病気が原因で起こる「膵性糖尿病」があります。また、細胞のエネルギー産生に関わるDNAの変性によって発症する「ミトコンドリア糖尿病」も知られています。さらに、他の病気の治療や経過をきっかけに発症する「二次性糖尿病」や、ステロイド薬の使用によって血糖値が上昇する「ステロイド糖尿病」も当てはまります。
糖尿病の原因
糖尿病の原因は、主に生活習慣の乱れや、遺伝または病気です。糖尿病は親や兄弟に糖尿病患者がいる場合、発症リスクが高まることが知られています。また、生活習慣では、食生活の乱れや運動不足、ストレス、睡眠不足が関係しています。
さらに病気が原因となる場合もあり、慢性膵炎や膵臓の手術など膵臓そのものの病気、ホルモン分泌に異常をきたす内分泌疾患、ステロイド薬など特定の薬剤の使用をきっかけに糖尿病を発症することもあります。
糖尿病の症状
糖尿病は初期の段階では自覚症状がほとんどなく、健康診断で指摘されて初めて気づく人も少なくありません。しかし、血糖値の高い状態が続くと、体にはさまざまな変化が現れます。
糖尿病の症状としては、喉の渇きや頻尿、急激な体重減少、強い倦怠感があります。さらに、血糖の高い状態が続くと、目がかすむ、視力が低下する、手足がしびれたり痛んだりするといった症状が現れることもあります。
糖尿病の合併症リスク
糖尿病三大合併症
高血糖が血管や神経にダメージを与えることで、全身にさまざまな障害を引き起こします。糖尿病の合併症として代表的なのが「糖尿病三大合併症」と呼ばれる網膜症・腎症・神経障害です。糖尿病網膜症は視力の低下や失明の原因となり、糖尿病腎症は透析が必要になるほど腎臓の働きを奪うことがあります。神経障害は手足のしびれや痛みを引き起こし、進行すると感覚が鈍くなり、足の潰瘍や壊疽につながることもあります。
その他の合併症
糖尿病は血管の老化を早める「動脈硬化」を進めやすいことが知られています。そのため、心臓や脳といった生命に直結する臓器に重大な影響を及ぼすリスクが高まります。代表的なのが、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患と、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害です。いずれも突然発症し、命を脅かすだけでなく、重い後遺症を残すことも少なくありません。また、足の血流が悪くなることで「閉塞性動脈硬化症」を引き起こし、歩行時の痛みや壊疽につながるケースもあります。
糖尿病の予防
糖尿病を予防する上で重要なのは、リスク因子を理解することと定期的な検査を受けることです。日常生活では、バランスの取れた食事を意識し、無理のない範囲で運動することが大切です。また、十分な睡眠を確保し、ストレスを溜め込まないようにすることも、血糖値の安定につながります。
また、「血糖値スパイク」という、食後に血糖値が急激に上昇し、その後急降下する状態には注意が必要です。血糖値の大きな変動は動脈硬化のリスクを高めることが知られており、特に糖質の多い食品を一度に大量に摂取すると起こりやすくなります。
糖尿病の治し方
糖尿病の治療は、生活習慣(食事や運動など)の改善と薬による治療です。主に血糖値を安定させ、合併症を防ぐことを目的としています。特に2型糖尿病では、生活の見直しが治療効果に直結します。
生活習慣の改善による治療
生活習慣では、栄養バランスを意識しながら適切なエネルギー量を守ることが重要であり、無理のない範囲で継続的に体を動かすことが血糖コントロールに役立ちます。それでも血糖値の改善が不十分な場合には、内服薬や注射薬などを用いて治療を行い、状態に応じて治療内容を調整していきます。
薬による治療
糖尿病の治療に用いられる薬には、さまざまな種類があります。
・αグルコシダーゼ阻害薬
腸管での炭水化物の分解・吸収を遅らせることで、食後血糖の上昇を抑えます。1型糖尿病、2型糖尿病のどちらにも使用できます。
・SGLT2阻害薬
腎臓でのブドウ糖の再吸収を抑え、尿中への糖排泄を促します。1型糖尿病、2型糖尿病のどちらにも使用でき、体重減少作用や心臓・腎臓を守る効果が期待されます。
・チアゾリジン薬
筋肉や肝臓でのインスリンの効きを良くし、善玉コレステロールを増やし、中性脂肪を減らす作用があります。
・ビグアナイド薬
肝臓での糖の産生を抑え、インスリンの効きを改善します。肥満を伴う2型糖尿病の方では、脳卒中や心筋梗塞の発症を抑える効果が知られています。
・イメグリミン
血糖が高いときにのみインスリン分泌を促し、同時にインスリンの効きも改善します。比較的新しい糖尿病治療薬です。
・DPP-4阻害薬
血糖が高いときだけインスリン分泌を促し、血糖を上げる作用のあるグルカゴンの分泌を抑えます。
・GLP-1受容体作動薬
内服薬と注射薬があり、血糖が高いときにインスリン分泌を促し、グルカゴン分泌を抑えます。DPP-4阻害薬より作用が強く、体重減少や心臓・腎臓保護効果も期待されます。
・スルホニル尿素薬
インスリン分泌を強く促しますが、低血糖を起こしやすいため注意が必要です。
・グリニド薬
短時間作用型で、食後のインスリン分泌を促し、食後高血糖の改善が期待されますが、低血糖には注意が必要です。
・インスリン製剤
速効型や持効型があり、インスリン分泌が低下している方や、内服薬で十分な効果が得られない場合に使用されます。
糖尿病なら「はまゆり糖・生活習慣病クリニック 溝の口」
はまゆり糖・生活習慣病クリニックは、溝の口駅から徒歩1分の糖尿病内科です。当院では、糖尿病専門医による診療を行っております。HbA1c、血糖値、尿検査(定性)の検査結果を当日にご説明いたします。「血糖値が高いと診断された」など、気になるお悩みや症状がございましたら、お気軽にご相談ください。
医院概要
院名:はまゆり糖・生活習慣病クリニック 溝の口
住所:神奈川県川崎市高津区下作延2丁目2-8
溝の口フラワーメディカルモール2F
電話:044-874-2085
院長:原 興一郎
診療科目:一般内科・糖尿病内科
休診日:水曜午後・土曜午後・日曜・祝日
アクセス:溝の口駅から徒歩1分
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